Log of ROYGB

はてなダイアリーが廃止されるので、引っ越しました。

有限の桁で表現できる無限の数

無限に関する話についてです。
http://d.hatena.ne.jp/quintia/20051207において書かれていたことについて。以下に一部を引用すると。

自然数は無限に存在する

どんな自然数でもたかだか有限の桁数で表記できる

この2文をこうやって並べて書いてみると、なんか不思議な感じがするのでは?

確かに不思議な感じがしました。
それについてコメントに書いたことと、その返事を以下に引用します。

# ROYGB 『自然数が、有限の桁で表記出来るというのが不思議に思います。その有限の桁は、いったいいくつなんだろうというのをまず考えます。
そして、有限の数を組み合わせて、無限ができるというのは、ちょっと納得しがたいです。有限集合に対する有限の操作で、無限集合ができるということですから。』

# quintia 『どんな自然数 n であってもその数を表現する十進数記法が「ただ1つだけ」存在する。
これが納得できますか?
これが納得できるならその十進数記法の桁数は「ある自然数で表現できる」ということも判りますね?
「ある自然数で表現できる」っていうのはどういう意味でしょうか?
その「ある自然数」はちゃんと値を持った「数」です。m としましょうか。
「どんな大きな自然数 n であっても m桁の十進数で表記できる」と言っているだけですよ?
ちなみに、m は (log_10 n) + 1 小数点以下切り捨て、ですね。』

# quintia 『そうそう。不思議な感じがする様に表現を選んで書いたわけなので、不思議に思ってもらうのは本望です。
「どんな自然数 n であっても、それを表現する m桁十進数表記が一意に存在する(mはある自然数)」
と言えばいいところを、
「どんな自然数でもたかだか有限の桁数で表記できる」
とわざわざ書いたわけなんです。』

# quintia 『あ、そうか。
どんな自然数でもたかだか有限の桁数で表記できる
という文を
自然数の桁数には上界がある
と読んでしまったのかな。』

# ROYGB 『n→∞の極限を考えた場合、mはどうなるかを考えるとやはり不思議です。有限の桁数で、無限にある自然数を表記できるというのならば、どこかおかしい気がします。
それがどこかは、わからないんですが…。』

# quintia 『もちろん m も +∞ に発散します。y=log_10 x のグラフを想像すれば判ります。
「有限の桁数で、無限にある自然数を表記できる」とは言っていないのですよ。
「ある自然数を表現するのに”無限の桁”は必要ない」と言っているのです。
そうですねぇ……。
「[0, 1)の開区間のどんな実数もたかだか有限の桁数で表記できる」は偽です。循環小数無理数がありますから、有限の桁数で表現できません。それとの*対比だと思って*考えてみてください。』

# quintia 『どう説明したらいいか夜も寝ながら考えました。(via のだめカンタービレ 峰くん)
http://d.hatena.ne.jp/quintia/20051209#1134086518
に書きましたので続きはそちらで。』

さらに、次の日のダイアリーhttp://d.hatena.ne.jp/quintia/20051208#1134030839においても説明がありました。
引用すると

\lim_{n \to \infty}\sum_{i=1}^n 10^{i-1}=?
ということ。これは「正の無限大に発散する」。つまりは「自然数ではない」。

しかし、これは納得できません。
自然数を定義する方法として、1に1を足し続けていくというのがあります。
1+1+1+…という式を続けていって得られる答えが自然数というものです。数式を使って表記すると以下のようになります。
\sum_{i=1}^n 1
これが自然数の定義です。そしてn→∞の極限を考えれば、
\lim_{n \to \infty}\sum_{i=1}^n 1
ということ。これは「正の無限大に発散する」。けれども「自然数」ではないでしょうか。


その次の日のダイアリーhttp://d.hatena.ne.jp/quintia/20051209#1134086518にも説明がありました。一部を引用すると

どんな自然数でも有限の桁数で表記できる

これを不思議に感じたのは、「有限の桁数で表記できるとしたら、それは有限なんじゃんかないか」ということです。
しかしながら、どうもそうらしいのです。つまり、有限の桁数で表記できるどんな自然数も有限である。つまり、「どんな自然数も有限である」ということです。

それは認めるとして、「有限の自然数が、無限に存在する」のは不思議に感じます。これについては、コメントにも書きました。返事も含めて、以下に引用します。

# ROYGB 『「どんな有限の自然数も、有限の桁数で表記できる」なら不思議は無いんです。そして「どんな自然数も有限である」らしいので、それを認めると「どんな自然数でも有限の桁数で表記できる」も不思議ではないのかな。
でも有限の自然数が、無限に存在するのは不思議な感じです。』

# quintia 『これを受け入れないと、
http://d.hatena.ne.jp/T-pon/20051112#c1131921844
に書いた、
『「2のべき乗の集合」のべき集合の、「有限集合の元」からなる部分集合』が『自然数の集合』と1対1で対応する、つまり全単射が存在する
というのが感覚として理解できないのでは?』

なぜ不思議かというと、n個の自然数を選んだ場合、n以上の自然数を含むはずだからです。具体的には3個の自然数を選んだ場合には3以上の自然数を含みます。3個の自然数、例えば{1,2,3}や{2,5,9}は、3以上の数を含みます。
3よりも小さい自然数は2個しか無いので、3個目は少なくとも3か、それ以上になります。
そうするとn個の自然数には「n以上」の自然数が含まれるはずです。
もし、nが無限で「無限個」の自然数が存在するのなら、無限の値を持つ自然数が存在してもいいはずです。

しかしながら、「自然数は無限に存在するが、個々の自然数は有限である」ということらしいいです。
納得できたわけではないのですが、これが正しいこととされているということはある程度確かのようです。

自然数の個数は無限であるが、自然数の値は有限である」ということなのでしょうか。なぜ、そうなのかは、これから理由を捜していくことになると思います。

それが理解できたとしても、その無限であるという「自然数の個数」を表記するのに必要な桁数は、有限なのか、無限なのか? という疑問は残ります。