Log of ROYGB

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インセンティブ

http://d.hatena.ne.jp/NATROM/20080109#p1の「未受診妊婦を減らす方法 - NATROMの日記」に関して。

いっそのこと、無料などとケチくさいことを言わず、妊婦検診を受けた人にはもれなく1万円をプレゼント、ただし(たとえば)5回までというのはどうか。財源は、出産一時金からまわす。出産一時金35万円を30万円に減らし、差額5万円を、妊婦検診報奨金5回分にあてる。きちんと妊婦検診を受けている人は損も得もしない。飛び込み出産した人は5万円の損。もちろんこれだけで未受診妊婦をゼロにすることは不可能ではあるが、かなりのインセンティブになると思うがどうだろう?

http://d.hatena.ne.jp/NATROM/20080109#p1


出産一時金から資金を流用する場合の問題としては、そもそも出産一時金をもらえない人のことがあります。健康保険に加入していなければ当然ながらもらえないし、未納金がある場合にも一時金がそれにあてられてしまうこともあるようです。http://www.nnn.co.jp/tokusyu/wadai/080104.htmlの「話題を追う 妊婦健診受けて!無料回数アップへ」の終わりの方に書いてある“清水院長代行は「五回無料で受けられるようになっても、まだ半分以上は自費なのだから大きい負担だ。保険適用して三割負担で済むようにすべきだ」と抜本的な制度改革を求めている。”ということも効果はあるだろうし保険の適用は大賛成ですが、未保険者の問題は残ります。
しかし何らかのインセンティブを与えることで、ある方向に行動をうながすというやり方自体はなかなか良いのではと感じました。http://macska.org/article/208の「macska dot org » Blog Archive » 反売買春系フェミニスト団体を見学して感心したこと」で取り上げられている団体のやっていることが、対象者は違うものの参考になるかもと思いました。

それよりすごいのが、この団体の活動だ。まず最初に一度顔を出して質問票に応えると、それだけでギフトパッケージがもらえる。次にまた来ると、こんどはギフト券がもらえる。もちろん、同じ時間に売春していればそれ以上の額が稼げるはずで、何の不満もなく売春している人がギフトに惹かれてこちらに来ることはないだろうけれど、はじめて来たときに何かもらえると嬉しいし、二度目にも何かもらえるとなると、もう一度戻ってこようという気にもなる。実際に行なっているのは、ほとんどよろず相談と言ってもいいくらいで、住居や医療からはじまって法律相談や職業訓練・大学進学までカバーしている。

驚いたことに、この団体ではクライアント一人あたり月100ドルの予算が組んであり、そこから光熱費や水道料金のような公共料金の支払いをしたり、バスの定期券などを買ってくれる。特に困っている時に小額支援するという仕組みなら他の団体にもあるだろうけれども、毎月100ドルものお金を継続的に支出してくれる団体なんて聞いたことがない。さらに、大学に進学したい人のために、地元の私立大学に直接交渉して、特別の奨学金を出してもらうことにも成功している(性道徳を説くキリスト教系の私立大学などでは、売春者を救うために必要なのだと言われると断りにくいのだろう)。

しかしわたしが一番感心したのは、そういう大きなことではなかった。わたしの知り合いの女性で、夫に言われて(ラップミュージシャンを目指している夫が機材を揃えたりするために)売春させられている人がいるのだけれど、彼女が最近売春を拒否するようになったところ、夫に殴られて大怪我をさせられたあげく家を追い出された。仕方がなくアパートを探しているのだけれども、何年も前の公共料金が滞納になっているために入居を断られ、友人の家に泊めてもらっている。そういった件について簡単に弁護士に話し、来週できたら彼女を連れてきます、と言ったら、団体の情報が書かれているビラと一緒に、ギフト用紙に包まれた小さなパッケージを渡された。中身は4個入りの箱入りチョコレートで、市内の有名チョコレート専門店のものだ。「これを、彼女に渡してください」と。

http://macska.org/article/208


とはいっても実際に参考にして具体的な行動をどうするのかを考えると難しいものがあります。ギフトパッケージなどはそのまま流用可能でしょうが、費用やそれを誰がやるのかといった問題は残ります。それはひとまずおいておいて何をやるかをさらに考えれば、妊娠検査薬とパンフレットなどを同封するとか。あとは、妊娠検査だけでなく糖尿病など尿によってわかる検査もいっしょにできるものがあれば、健康チェックの一環として妊娠の確認も出来るかも。本人も妊娠になかなか気が付かないということもあるみたいだからです。