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数学の問題の問題6

人力検索はてなの質問に関連して考えたこと。

数学に関する質問です。なぜ一度正しいと証明された定理が覆されることがないのか? ということが理解できません。

「あらゆる科学理論は本質的には仮説であって真理ではありえないので、常に反証される可能性がある。そして反証された時にその理論は敗れ去る」

これは非常に納得できることです。
しかしどうして数学の場合は科学のように反証可能性のようなものがないのかがわかりません。
「論理だから」というのは自分にとっては全然自明ではありません。
そう言われると、なぜ論理だと覆されることがないのか? という新たな疑問が生まれるだけです。
「論理だから」が本当に正しのか、そしてそれが正しいのならばどうして論理だと覆されないのか、
それともそれ以外の理由があって数学の定理は覆されないのかを教えてください。

http://q.hatena.ne.jp/1210570897


公理について説明している回答が多く、まあ妥当だとは思います。前回の数学の問題の問題5で書いたのも似たようなことです。1ひく2が「解なし」になる公理系もあれば「−1」になる公理系もあるということです。


でも公理主義だけが正しいとすると、数学が現実の世界と完全に関係なくなってしまうのが困ると思います。幾何では「点」や「直線」、「平面」などの関係が本質だとしても、実際に問題を考えたりする場合は紙に作図したりするわけです。
もっと単純な例だと、リンゴが2個と3個あった場合に合わせて5個になるというのと「2+3=5」というのは全く関係無いと考えなくてはいけないとしたらずいぶん不便だと思います。でも集合を使った自然数の定義から考えるとそうなるのが正しいのではとも。リンゴなどの個数から自然数が導かれたのは歴史的には正しいとしても、公理主義には関係ありません。
でも長方形の面積を求めたり、歩く速度を求める計算などは現実とは無関係とするには無理がありそうです。それともこれらは数学でなく物理になるのでしょうか。


そんなことを考えていると、数学と物理の境界というのを明確に区別できるかどうかもはっきりしなくなってきました。

F=ma

上の式はニュートン運動方程式で、Fが力、mが質量、aが加速度を表しています。でも、F=maという式だけでは別のものを意味しているとも考えられます。Fが電圧、mが電流、aが抵抗値であればオームの法則になります。


ニュートン運動方程式万有引力の法則も、現実の物理現象と独立であると考えることも出来ます。相対性理論などによる補正のことではなく、最初の定義から現実の世界ではなく独自に設定したものを使っているからです。
それは大きさのある物ではなく、大きさの無い「質点」を使って法則が考えられているからです。現実には質点などは存在しません。ただし、球状の物質が中心に対して対象に質量が分布している場合には、物質の外側では中心に全ての質量が存在した場合と同じになることがニュートンによって証明されています。ちなみに積分を使っています。
他にも、物理の法則や考え方でも「理想気体」や「理想流体」といった架空の存在や摩擦が0である場合などを定義することがあります。定義によって成立する世界の法則を考えているのだから、物理ではなく数学だと考えることも出来そうに思えてきました。


今回の話をまとめると以下の2点です。

  1. 形式的な数学だけが正しいとすると、現実の世界と数学は完全に無関係だがそれでいいのか?
  2. 物理でも理想状態などの架空の前提をもとに考えることがあるが、これは数学か?

数学の問題の問題
数学の問題の問題2
数学の問題の問題3
数学の問題の問題4
数学の問題の問題5