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「数学入門」入門


世界を読み解くと題名にある通り、あまり意識されてはいないけれど社会のあちこちに密接に関係している数学に関して書かれています。
第一章では、十進法の話から他の進法、そして素数やRSA暗号まで話が広がります。1年の日数を八進数で表した結果が印象的でした。
第二章では、分数から確率への話。分数の足し算をするときは通分する必要があり、そのまま分子分母どうしを足てしまうというのはよくある間違いとして知られているのですが、その通常であれば間違いである方法が正しいという場合が登場します。


\Large\frac{a}{b}+\frac{c}{d}=\frac{a+c}{b+d}


この式が成り立つのはどういう場合なのかを考えてみるのも面白いかと思います。他には結果から原因を逆推定する逆確率の部分も興味深く読みました。
第三章は、無理数からカオスまで。合コンでカップルが成立しない確率の問題が出てきますが、これがなんとプレゼント交換の問題と一緒とは驚きです。説明の方法は『離散数学「数え上げ理論」』と同じでした。最後の分子運動と温度の問題は少し誤解をまねくかもと思いました。ピストンの動きを極限までゆっくり動かした場合でも温度の上昇は起こるからです。『2008-12-02 - あけてくれ - おれカネゴンの「算数できんのやっぱり気にしすぎとや」日記』(http://d.hatena.ne.jp/hachi/20081202#p3)で引用されていた「熱力学」のピストンを早く動かしたときとゆっくり動かしたときで温度の上昇が違う、というのが頭に浮かびました。
第四章では虚数について書かれているのですが、実在する虚数の説明として量子力学が登場します。概要の説明ですが、それでもやはり難しい。電磁波などの波を表すのに虚数が登場する、とかだともう少し簡単になったんではと思います。これだと実在する虚数という点では少し弱いですが。それと第一章で素数の性質を使ったRSA暗号を出して、第四章に出てくる量子コンピュータでRSA暗号が解読されるという全体の流れからは、量子力学が登場するのも納得です。わからない部分は何度か読み返そうと思います。