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はてなダイアリーが廃止されるので、引っ越しました。

自由と自己負担

http://d.hatena.ne.jp/NATROM/20090105#p1の「アクセスフリーの弊害 - NATROMの日記」に関して。

30〜40分ぐらいしたら今度は脳外科の先生から、「頭部CTを撮ったけれども異常なし。内科的疾患だと思う。よろしく」と連絡があった。どうやら、内科の医師である私がすぐに診れないため、外来の看護師が気をきかせてか、頭痛ということで脳外科を受診させたらしい。

純粋に医学的見地から言えば、頭痛だからといってCTを撮るのは阿呆のすることである。詳しく病歴を聞き、丁寧に身体所見をとり、なんらかの頭蓋内病変を疑ったときに頭部CTをオーダーするのが「正しい」。しかし一方で、現在の日本で検査を希望する頭痛の患者さんのCTを撮らないのは馬鹿のすることである。万が一にでも、後からクモ膜下出血でも起こした日には、もれなく訴訟。そうでなくても、CTを撮ることで、患者さんの満足度は上がり、医療機関も収入が増える。


経営的な見地から言えば、CT検査によって医療機関の収入が増えることは喜ばしいのかも。さらに顧客満足も得られるのだから言うこと無しな成功例という見方もできるのではと考えました。
もっと言えば他の人よりも些細な理由で病院を訪れる人は、経営的に見て良い顧客なので優遇しても良いかもしれません。病気で無い場合でも、安心の為に人間ドックはいかがですか、とかオプションとして脳ドックも付けられますなどといった営業活動に対して効率の良い成果が上がりそうです。


健康診断や人間ドックは、補助はあるにしろ基本的には全て自己負担なわけですが、それでも受ける人はいます。
健康保険の本人負担が3割になったのも2003年からで、それまではサラリーマンの保険者本人負担と家族の一部は2割負担でした。高齢者の場合はまた違っていて、去年の後期高齢者医療制度が変わったことで混乱したのは記憶に新しいとおもいます。
支払いの分担割合が変わっただけでは総額の変化は無いですが、自己負担が増えることによる病院にかかることを抑制する影響はあるかもしれません。健康保険制度の維持と言うか支出を減らすには自己負担を増やしたほうがいいのでしょうが、あまり増やしすぎると保険に加入する意味が失われて制度自体の危機を迎えるかもしれません。今のように一律割合ならば5割くらいが限界なのかなと何となく思います。自己負担の割合を変化させることができれば、軽い病気の場合は自己負担を大目にするなどの方法も可能かも。あとは混合診療の解禁や、保険適用の厳格化なども考えられます。たとえば医学的な見地から見て不要な検査などには、健康保険から支払いをやめるなど。


でも年金問題と同じように、健康保険の場合でもいざというときは生活保護を受けるという抜け道が残されているか。無年金でも生活保護を受ければ最低限の生活が確保されるのと同様に、健康保険に加入していなかったりした場合でも生活保護を受ければ最低限の医療は保証されるから。