Log of ROYGB

はてなダイアリーが廃止されるので、引っ越しました。

できることだけでなく、できないことを把握する

昨日書いたこととも関連しますが、http://togetter.com/li/3833の『Togetter(トゥギャッター) - まとめ「√xまとめ」』で紹介されている以下の部分について。

みなさんは問題の所在を「教える内容」だと思っていますがそれは違います。彼らは、(1)4=x^2をみたすxを求めなさい、という問題には、正しく2,-2と回答する。(2)√4はいくつですか?と聞くと、2と正しく答える。(3)が、√xの定義はなんですか?と聞くと、二乗するとxになる数と答える論理的な破たんにあるのであって、「本来√はどのように教科書で定義すべきか」というような技術論ではありません。

http://togetter.com/li/3833


√xの定義が、「二乗するとxになる数」というのは必要十分条件を満たしてはいないけれど、必要条件を満たしてはいるのかなと感じました。二乗するとxになる数だけでは√xの定義としては十分ではありませんが、ある数が二乗してもxにならなければ√xではないということはわかります。必要条件を満たしていないからです。


必要条件と十分条件というのもきちんと理解するのが難しいところがあると思います。また、数学や論理学での必要条件や十分条件が理解できている人が、必ずしも必要条件や十分条件が成り立たない日常言語に前提抜きにそれを持ち込むことで混乱をもたらすこともあります。
混乱をもたらす意図はありませんが、必要条件や十分条件的なことを用いて、引用した文にでてくる問題について考えてみます。


(1)と(2)の問題は、必要ではあるけれど、十分ではないのではないか?


(1)と(2)の問題に正解することができても、(3)の問題に正解できないということから、この疑問はある程度の信憑性を持つのではないかと考えます。(1)と(2)がわかることは、(3)がわかるためには必要ではあるが十分ではないということです。

では、どういった修正をおこなえば十分条件をみたすのか、ということも考えました。

−4=x^2をみたすxを求めよ。

この問題は解なしです。少なくとも実数の範囲のxで、二乗すると−4になる数はありません。
つまり、この問題がわかれば負の数の平方根は存在しないということが理解できていると推測できます。

次はこの問題。

−2=√xをみたすxを求めよ。

この問いも解なしです。両辺を二乗すると4=xにはなりますが、√4は−2にはなりません。
これがわかれば、√xが負にはならないということもわかるように思います。


別の言い方をすれば、
平方根や√が成り立つ場合の問題ばかりでは、成り立たない場合についての理解を深めることにはならないのではないか。
ということです。


さらに言うと、平方数である4の平方根や√を求めるだけでも十分ではないのかなと思いました。例として、書きやすいものを選んだので実際にはもっと別の数を使っているとは思いますが。
別の数を使う場合でも、整数や有限小数さらに分数をつかったとしても有理数について説明しただけに過ぎません。xが実数であるのだから、無理数の場合もいくつかあった方が良いのではないかと考えます。
たとえば、
√5=x^2をみたすxを求めよ。
とか
5+√24=x^2をみたすxを求めよ。
などはどうでしょう。
これらによって、二乗して√5になる数が存在することなどがわかります。ちなみに2つ目の問題は、単に±√(5+√24)と書くだけでなく、別の表記も可能です。

代数的数だけでなく超越数も欲しいところです。
半径rの円と同じ面積の正方形の1辺の長さを求めよ。

これだけで十分かどうかはわかりませんが、こういった問題を複数解いていくことで、xが負でない場合ならばどんな数でも平方根や√が存在するということが実感できてくるのではないかと思います。


(追記)
他にも0の平方根やルートを問う問題も必要か。正の数xの平方根は√xと−√xの2つだけれど、0の平方根は1つしか無いので。
あとは1よりも小さい数のルートなんかも。そうでないとx>√xがいつでも成り立つと勘違いするかもしれないので。