Log of ROYGB

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水だけで1ヶ月

「お年寄りは平穏に死にたがっている 末期医療を考える〜(1) JBpress(日本ビジネスプレス)」に関して。

「病院でお世話になったので、管を入れると言われて断れなかった。こんな母親の姿を見るのは辛い。三宅島では、年寄りは食べられなくなったら水を与えるだけ。そうすると苦しまないで静かに息を引き取る。水だけで1カ月は持つ」と。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/3006?page=3


この水を与えるだけで苦しまないで静かに息を引き取るというのは、エビデンスの無い代替医療的なものではないかと思いました。死ぬのは確かでしょう。健康な成人でも水だけで生きられるのは約1ヶ月といいますから。
しかし、苦しまないでというのは大いに疑問です。食べるものが無い餓死が楽であるのかということから考えると、むしろ苦しいのではないか、しかし体力がなく見た目としては静かであるだけではないのかと思ってしまいます。

過去の、医療が発達していなく移動の問題もあった時代のことであれば他に良い方法もないしかたのない選択かもしれませんが、現代の日本ではあまり認められない行為のような気がします。


鼻からチューブを入れたり、胃に穴を開けてチューブを入れる胃瘻による経管栄養についても否定的な論調で記事が書かれています。これも本人の選択として治療を拒否するのならばともかく、家族であっても勝手に判断していいのかなと思います。本人の意思ならば、宗教的な理由による輸血の拒否も認められていますが、親であっても子どもの意思を代弁して輸血の拒否をすることは認められなそうです。

認知症で意思表示ができないことが問題ならば、もっと早い時期に意思を表示することの啓蒙があってもいいはずです。脳死の場合にどうするのかを臓器提供意思表示カードなどに記入しておくことで決めておくようなことと同様のことは出来るはずです。自分が死んだ場合*1に臓器をどうするかということも大切でしょうが、生きている間の治療をどうするのかということも大切でしょう。それに可能性としてなら脳死になるのよりも認知症になる方がずっとありそうです。


誤嚥と肺炎についての対策が、何も書いていないのも気になるところです。食べ物の形状や状態だとか、食べた後すぐには寝かさないといった誤嚥を減らす方法や、肺炎を減らすための肺炎球菌ワクチンや口腔ケアなどについて何もありません。
施設で何もやっていないということは無いだろうし、好意的に想像で補って読めば対策をした上でも発生する誤嚥と肺炎について書いているのかもしれません。

*1:脳死を本人が死と認める場合も含む。