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はてなダイアリーが廃止されるので、引っ越しました。

海外の日本人学校に対する支援

産経新聞の【主張】から。

 数ある課題の中でもとりわけ問題なのが、外国人の取り扱いだ。高校無償化法案では、私立高校などの在学生について支給対象を「日本国内に住所を有する者」としている。このため日本にある外国人学校の生徒へ支給される可能性がある一方、海外に住む日本人高校生には助成されない不公平が生じる。

http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100329/plc1003290326001-n1.htm


少し疑問に感じたのは、そもそも高校の無償化がすすめられたのは、国際人権A規約の十三条二項(C)によるものではなかったのだろうかということです。

十三条
1 この規約の締約国は、教育についてのすべての者の権利を認める。締約国は、教育が人格の完成及び人格の尊厳についての意識の十分な発達を指向し並びに人権及び基本的自由の尊重を強化すべきことに同意する。更に、締約国は、教育が、すべての者に対し、自由な社会に効果的に参加すること、諸国民の間及び人種的、種族的又は宗教的集団の間の理解、寛容及び友好を促進すること並びに平和の維持のための国際連合の活動を助長することを可能にすべきことに同意する。

2 この規約の締約国は、1の権利の完全な実現を達成するため、次のことを認める。


(a) 初等教育は、義務的なものとし、すべての者に対して無償のものとすること。
(b) 種々の形態の中等教育(技術的及び職業的中等教育を含む。)は、すべての適当な方法により、特に、無償教育の漸進的な導入により、一般的に利用可能であり、かつ、すべての者に対して機会が与えられるものとすること。
(c) 高等教育は、すべての適当な方法により、特に、無償教育の漸進的な導入により、能力に応じ、すべての者に対して均等に機会が与えられるものとすること。
(d) 基礎教育は、初等教育を受けなかった者又はその全課程を修了しなかった者のため、できる限り奨励され又は強化されること。
(e) すべての段階にわたる学校制度の発展を積極的に追求し、適当な奨学金制度を設立し及び教育職員の物質的条件を不断に改善すること。

http://www.mofa.go.jp/MOFAJ/gaiko/kiyaku/2b_004.html


日本は(c)の高等教育の無償への漸進的な導入という項目を保留にしてきたわけですが、多くの国ではすでに批准されています。
そこで出てくる疑問点は、海外の日本人学校に対しても学校が存在する国によって無償化などの措置がなされているのかどうかということです。日本にある外国人学校に対して日本政府が援助するのと同様に、外国にある日本人学校に対しては外国政府による援助があるのでしょうか。


検索してみたところ、日本人学校に対する援助が無いというエントリーがみつかりました。

最も人権保障の進んだ欧米においても、外国人学校に対して、自国の学校制度と同様の権利保障をし、同様の財政措置をしている国は、少なくとも私は知らない。マイノリティの教育保障といっても、自国の学校制度の中に入ってくる者に対しては、最大限の配慮をするだろうが、自国の学校制度の外に置かれる外国人学校の場合には、その当該国家(外国政府)による保障がまず第一であって、外国人学校が存在している国がそれに便宜を図るのは自然であるとしても、保障についての責任を負っているわけではない。

 私がよく知っているのはオランダなので、オランダを例にとろう。オランダは、マイノリティへの教育が最も配慮されている国であることは、国際的に認められているから、例にとって考えることは、十分に理由のあることだろう。

 昨日も書いたが、オランダには日本人学校がある。オランダは、公立も私立もまったく同じ公費助成があるので、公立と私立では授業料の格差がない。義務教育段階は公立私立ともに無償が徹底している。だから、オランダの学校に入学すれば、どんな国籍であろうと、オランダ人と全く同じ条件で教育を受けられるし、一定数の人数がいれば、母語による授業を部分的に保障される。(一定の人数が必要である。)しかし、日本人学校のように、外国人学校の場合には、それは適用されないのである。だから日本人学校に通っている小学生は、すごく高額な授業料を払う必要がある。

http://wakei.at.webry.info/201002/article_10.html

日本の外務省が援助しているというのは見つかりました。

(4) 海外での日本人の生活・活動に対する支援

日本人学校・補習授業校への支援

海外で生活する日本人にとって、子供の教育は大きな関心事の一つである。外務省では、海外でも、義務教育相当年齢の子女が、日本と同程度の教育を受けられるよう、文部科学省と連携して日本人学校への支援(校舎借料・現地採用教員謝金・安全対策費等の一部援助等)を行っている。また、主に日本人学校が存在しない地域に設置されている補習授業校(国語等の学力維持のために設置されている教育施設)に対しても、支援(校舎借料、現地採用講師謝金の一部援助等)を行っている。近年、海外在住の日本人子女数は増加傾向にあり、今後もこうした支援を継続・強化していく方針である。

http://www.mofa.go.jp/Mofaj/Gaiko/bluebook/2009/html/h4/h4_06.html