Log of ROYGB

はてなダイアリーが廃止されるので、引っ越しました。

亀とアキレス

亀とアキレスが競争することになりました。最初のときは、亀がアキレスよりも少し先に出発することで、どれだけの手順を重ねても、アキレスは亀に追いつくことが出来ませんでした。*1
手順でなく時間で考えればいいとわかって再び競争したこともありましたが*2、その時も追いつくことができませんでした。
今回はそんなことにはならないようにと心に誓うアキレスでした。


「こんどは同時に出発することにしましょうか。」亀がそういったときに、アキレスは勝利を確信しました。
「わたしはかまわないが、それでは競争にならないのではないかな。」とアキレス。
「そうでもありません。こんどは、時間無制限で、あなたが到達した場所に私がたどりつくことができなかったらあなたの勝ちということでいかがでしょうか。」
アキレスは少し考えました。わたしは少なく見積もっても亀の2倍の速さで走ることができる。だから長く走れば長く走るほど、亀よりも遠くに行ける。これなら負けることはないはずだ。
「よし、それでいいぞ。もしも君が私のいる場所まで来ることが出来たら君の勝ちだ。」
まあ、そんなことはないだろうね。というのは口に出さずに心の中で思うだけにしておいたアキレスでした。


競争が始まりました。アキレスは亀を引き離してどんどん走ります。1時間ほど走ったところで、もう大丈夫だろうと休憩しました。
しかし、それから1時間ほどすると亀の姿が見えてきました。あわててアキレスは走り出します。
今度は2時間走って休憩。でも2時間するとまた亀の姿が。
3時間走って休憩。3時間すると亀の姿が。
4時間走って休憩。4時間すると亀の姿が。
5時間走って休憩。5時間すると亀の姿が。
6時間走って休憩。6時間すると亀の姿が。
7時間走って休憩。7時間すると亀の姿が。
8時間走って休憩。8時間すると亀の姿が。
9時間走って休憩。9時間すると亀の姿が。



「ちょっとタイム。」アキレスは追いついてきた亀に呼びかけました。
「いいですよ。」亀はそういってアキレスの近くにやってくると腰を下ろしました。
「いったいいつまで競争を続ければいいんだ。」
「そうですねえ。もし負けてもいいのなら、いつでも走るのを止めてもいいんですよ。」
もうそれでもいいかと思いかけたアキレスですが、気を取り直して尋ねました。
「そうじゃなくて、わたしが勝つにはいつまで走ればいいのかを知りたいんだ。」
「それを私に聞くのですか。まあいいでしょう。いつまでも走り続ければ、あなたが負けることはありません。」
「いつまでもって…。」
「いつまでもです。」
「しかし、わたしは君よりも2倍は早く走れるのだぞ。」
「そのとおりです。でもあなたが1時間走って到着した場所には私が2時間走ればたどりつけます。同じようにあなたが2時間走って到着した場所には4時間で、といった具合です。」
「もっと長く走れば…。」
「長く走っても同じことです。あなたが任意の時間t走った場所に、私は2tでたどり着けます。」
「任意の時間tということは、どれだけ長くてもということか。」
「どれだけ長くてもです。」