Log of ROYGB

はてなダイアリーが廃止されるので、引っ越しました。

ダイヤル0をまわす時

今ではあまり見ることの無いダイヤル式の電話は、ダイヤルの数字と同じ回数だけスイッチをオンオフすることで信号を伝えています。1ならば1回、2ならば2回のパルスが電話局に送られます。
では0は0回かというとそうではなく、10回のパルスを送っています。0回のパルスだと、ダイヤルを回さない状態と区別が付かないので使うことができません。
パルスの回数が数を表しているとするならば、ダイヤル0は実は10であると考えることもできそうですが、パルスの数とダイヤルの数は別に対応していなければならないものでもありません。ダイヤル0がパルス1回、ダイヤル1がパルス2回とかでもいいわけだし、プッシュホンでは音と番号を対応させています。


自分の声が受話器から聞こえないようにする仕組みも電話機にはあります。トランシーバーなどでは話すときにボタンを押すなどして、受信と送信を切り替える必要がありますが、電話の場合は自分と相手が同時に話すことも可能です。
送信用と受信用に別の線を使えば簡単ですが、電話では送信と受信に同じ線を使っています。もし何もしなければ、自分の話した声を送信すると同じ線から受信して受話器から声が聞こえてしまうはずです。実際には受話器から聞こえるのは電話線から受信した信号から、自分の声を引いたものになります。
自分の声をa、相手の声をbとした場合に、電話線には(a+b)が存在しで、それをそのまま受信するのではなく、自分の声aを反転させて加えて相手の声のbだけを取り出しています。*1
式の上では(a+b)−aのa−aは0になって消えてしまうのですが、実際のところ完全に自分の声が無くなるわけではありません。この消しきれなかったものを側音というのですが、普通の電話機の場合には多少の側音は問題にはなりません。スピーカーなどから音を出す場合には、なるべく側音が小さくなるように設計しないとハウリングを起こすためにあまり音量を大きくできません。

*1:ノイズキャンセルヘッドホンなどでも同様の原理で周囲の雑音を消しています。