Log of ROYGB

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宇宙人に自然数を説明する

自然数というのは数の基本で、小学校で最初に教わる数も1つ、2つと数えられる自然数です。リンゴの量を判断するのに1個、2個のように自然数を使うのはまったく自然なことです。
しかし、人間とまったく数のとらえかたの違う知的生命を想像することもできます。人間とは違う考え方をする宇宙人にとって自然数というのが不自然である可能性は無いともいえません。

ところでπ進数のような自然数で無い数を使った表記法の場合に、自然数を表すのが面倒になるという問題があります。これは自然数を自然な物として認識している人間にとっては不便です。逆に、π進数などを使っている知性体は自然数を人間のように自然とは感じないかもしれません。「ストリンガーの沈黙」にもそんなような描写がありました。


自然数というのは、何かの個数を数えるには便利ですが、長さや重さなどの量を表すには必ずしも適してはいません。長さや重さといった切れ目の無いアナログな量を、自然数といった飛び飛びの値に置き換える場合にはどうしても誤差がでます。これは自然数を拡張して小数などを使っても本質的な面では変わりません。勿論のこと、長さをヒモなどに移し換えて記録した場合にも誤差は出るのですが。

http://d.hatena.ne.jp/ROYGB/20090224#pai


これは以前に書いたものですが、もう少し具体的に自然数が自然でない宇宙人を考えて見ます。
人間のように個体が独立しているのではなく、アメーバーというか粘菌のように不定形でさらに分離や合体を日常的にくりかえしている生き物ならば自分と他人の区別もあいまいだし、何人いるのかということもはっきりしなくなるかもしれません。他の生き物も同様で、そういった世界で進化した場合には物の量は判断しても個数に関する判断は必要性がすくないので知識の体系から外れるかもしれません。食べ物について考える場合に、リンゴが2つとか3つのように個数で考えるのはリンゴの大きさがだいたい同じであることも関係しています。あるリンゴは10グラムで、別のは30グラムのように大きさがバラバラなら個数で判断するよりも重さなどの量で判断した方がいいわけです。
だから何かの量を判断するのに個数という自然数を使うのが妥当なのは、大きさや質がある程度近い範囲にあってほぼ同じだとして問題が無い場合という前提条件が成立している場合ということになります。だから同じようなものがあふれている環境で進化した人間は自然数を自然なものとして考える。そして同じようなものがほとんど存在しない環境で進化した宇宙人が自然数と不自然なものとして考えることも充分ありえます。


数といえば大きさや重さ、長さといった量として認識する宇宙人も、自然数という存在をまったく認識する可能性も無いわけではありません。現在の人類程度まで進化した場合には、物質が原子からなることや原子の構造なども知ることができるはずです。そして、原子というのが陽子や中性子、電子といった素粒子からなることも解明した場合に、自然数が登場する可能性があります。原子を作っている陽子などは、1つ、2つと数えられるものだからです。1個半の陽子などというものはありません。だから物理学が進歩するにしたがって、通常の生活では使わない自然数という特別な数を使うことになったりするのではないでしょうか。