Log of ROYGB

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グラフで見るローレンツ変換

前回に引き続いてローレンツ変換を理解する為にエクセル*1を使ってグラフを作ってみました。

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図1 静止状態でのグラフ 横軸は時間(秒) 縦軸は位置(光秒)


わかりやすさのために時間軸と位置の軸もデータとして表示させてみました。これらは同じ位置で動かない物体の1秒毎の状態、基準点から1光秒ずつ離れた位置にある宇宙ステーションのように具体的な物として考えることも可能です。
移動体の速度は半光速なので、2秒で1光秒動いています。
これをローレンツ変換すると、移動体から見た状態になります。

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図2 移動体基準でローレンツ変換をした後

移動体基準なので、移動体は時間が経過しても位置が変わりません。代わりに、前は動いていなかった「時間:X/C」が動いています。下向きの斜めなので、基準点の後方に遠ざかっていくわけです。
また静止視点からは時間0で1光秒ずつ離れていた「位置:X/C」は遠くにあるほど過去になってしまいます。
変換後の状態でも光は1秒あたり1光秒進むという光速度不変を維持していて、ローレンツ変換の前でも後でも光の速度は同じであるというのが重要なポイントです。これは光速度が変わらないという仮定からローレンツ変換が導き出されているのであたりまえのことでもあります。
ただし、静止状態では5秒で5光秒進んでいた光は、移動体視点だと約2.9秒あたり約2.9光秒進んでいるとなります。これは移動体の時間の遅れによるものだけではありません。移動体自身の時間は、静止状態での5秒が約4.3秒になっていて、これは時間の遅れを求める式√1ー(v/c)^2から求まるので理解は容易です。*2
では光の2.9秒はなにかというと、次のグラフを見てください。

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図3 移動体視点に静止時での5秒のラインを追加

追加したのは静止状態では「位置:X/C」と同じように同じ時間で1光秒ずつはなれたポイントで、時間が5秒のときのものです。
この5秒の時間のラインが、光と移動体と時間の先端を結んでいます。これはローレンツ変換前はどれも5秒だったので当然ですが、ローレンツ変換後も直線状にはなっているわけです。
こうやって実際の数字などを入れてローレンツ変換を行った後でどうなるのかというのを見ていると、だいたいどんな感じなのかというのがわかってくるような気がします。





*1:実際に使ってるのは互換ソフト

*2:時間の遅れは進行方向と直角の向きに往復する光の移動距離を静止と移動視点から考えて、あとは三平方の定理で求められる。