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ローレンツ短縮と時間の遅れ

ローレンツ短縮は、光の速度に近づくと長さが縮むという不思議な現象です。宇宙船などの速度vを光の速度に対する割合で表した場合に、√(1ーv^2)の割合で進行方向の長さが縮みます。
たとえば、光速の86.5%で進む宇宙船の長さは、止まっていた時の半分になってしまいます。
しかし宇宙船の中の人にとっては、宇宙船の長さは出発前と同じで、縮んでなどいません。宇宙船は縮んでいるのかいないのか、どっちなんでしょう。

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図1:光速の86.5%で進む宇宙船の移動を表すグラフ

上の図は、光速の86.5%で進む宇宙船の移動を表すグラフです。出発から1秒後には、0.865光秒の位置に移動しています。
宇宙船の長さは0.5光秒なので、先頭と船尾は0.5光秒はなれています。

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図2:出発時の宇宙船

図中の赤い矢印が宇宙船です。この0.5光秒の長さというのはローレンツ短縮後のもので、止まっている時は1光秒の長さです。
出発から1秒後にはこうなっています。

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図3:出発から1秒後の宇宙船

ちょうど出発から1秒後の宇宙船の先頭と船尾の位置にチェックポイントを用意しておきます。ポイントAが先頭、ポイントBが船尾の確認用で、間隔は0.5光秒です。
出発から1秒後に、ポイントAとBで宇宙船を確認できたので、宇宙船の長さは0.5光秒であることがわかります。
しかし宇宙船の中の人にとっては宇宙船の長さは1光秒なので、これはおかしいことになります。宇宙船の中の人にとっては、こうなります。

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図3:宇宙船の中の人にとっての宇宙船

斜めになっている矢印が、宇宙船の中の人にとっての宇宙船です。外の人から見た同時は、宇宙船の中の人にとっては同時ではなく、宇宙船の中での同じ時刻の先頭と船尾を図にするとこんな感じに斜めになります。この矢印の長さだと宇宙船の長さが1光秒よりも長く伸びているように見えますが、ローレンツ変換したグラフだとこうなります。

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図5:ローレンツ変換後のグラフ

ローレンツ変換後つまり宇宙船の中の人にとっての状態に直せば、ちゃんと1光秒になってることがわかります。ポイントAとBの間隔は、宇宙船基準だと短縮されて0.5光秒よりも狭くなってます。

ローレンツ変換では距離だけでなく時間も静止状態とは変わってしまうので、それをふまえて考えると、ローレンツ短縮も理解しやすいかもしれません。
棒の長さが斜めから見ると短く見えるように、移動する棒は時空間で斜めになってしまうので短く感じられるというのが、ざっくりとしたローレンツ短縮の原理です。

斜めになるというのは時間の遅れでも同じで、移動する宇宙船内で時間が遅れるのは、三平方の定理を使って簡単に求められます。
遅れの割合は、√(1ーv^2)と、ローレンツ短縮と同じです。
斜めになるので長さは縮まるし、時間の進みかたも遅れると考えると、なんとなくわかったような気分になるのではないでしょうか。

 

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