Log of ROYGB

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ロイヤルミルクロード

はてなブックマークで紹介されていたhttp://d.hatena.ne.jp/sci98/20080214#1202998978にある「学問に王道なし - 妄想日記」の内容とはあまり関係なくタイトルに使われている「学問に王道なし」という言葉とそれを紹介して以下に引用する部分に関して。

かの有名な数学者ユークリッドは、エジプト王プトレマイオスから「簡単に幾何学を学べる方法はないのか」と問われて、次のように答えたといわれている。「幾何学に王道なし」。現在では、この言葉は幾何学に限らずすべての学問に対していえる言葉であるととらえられ、「学問に王道なし」という言葉として定着している。

http://d.hatena.ne.jp/sci98/20080214#1202998978


引用ではユークリッドプトレマイオスになっていますが、同じエピソードがメナイクモスとアレキサンダーでもあります。史実というよりは後世の創作のように思います。英語の諺"There is no royal roal to learning."の"royal road"が「王道」と訳されたのでしょう。"royal road"には他に「近道」や「楽な方法」といった訳語があります。
「王道」には「近道」や「楽な方法」とは全く違う意味もあります。それは“儒家の理想とした政治思想で、古代の王者が履行した仁徳を本とする政道”というものです。転じて「正攻法」や「正統派」のような意味でも使われます。「○○の王道」のように使われる場合は、こちらの意味が多いでしょう。というよりは「楽な方法」という意味での「王道」は「学問に王道なし」という言い方の場合くらいしか思い当たりません。
「学問の王道」のような使い方をした場合は、「王道」の意味をどちらにとるかで全く逆の意味になってしまいます。


ところで"royal road"つまり「王の道」と呼ばれる道は実際にあったようです。ウィキペディアによれば“アケメネス朝ペルシア帝国の大王ダレイオス1世によって、紀元前5世紀に建造された古代の公道である。”とのことです。そういう意味では「学問に王道なし」の「王道」は具体的な道を比喩的に使ったとも考えられます。そうすると近道というよりかは、整備されて楽に進める道というような意味だったのではないでしょうか。でも道の比喩を使ったとしたら、それこそユークリッドの「原論」などは後から学ぶ者にとっては進むべき方向を示してくれる「道」に例えることも出来るのではなんてことも思いました。楽な道ではないにしろ、整備された安心して進むことのできる道です。


参考リンク
孟子#王覇 - Wikipedia
王の道#王の道に関する逸話 - Wikipedia