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数学の問題の問題

数学の問題に関する話。今回は「角の三等分」について。


定規とコンパスを使った角の三等分は、ギリシア三大難問の一つとして有名です。そして定規とコンパスを初等作図の方法で使用するという前提では、任意の角の三等分が出来ないことは証明されています。
しかし、出来ないで終わるのではなく出来る方法を考えるのが学問というものではないのか。これが1つ目の疑問。
そして、三等分以外の分割についてはどうなんだろう。というのが2つ目の疑問です。円を何等分かにして正多角形を作図する方法はいくつも考えられています。正三角形、正方形、正五角形、正六角形までは比較的簡単に作図可能です。正七角形はたしか作図不能で、正八角形や正九角形なども作図可能です。
これらと同じように、角の五等分や六等分ひいては任意の整数nによるn等分などを考えることもできます。でも、おそらく五等分は不可能だろうし、三等分が不可能なことから六等分も不可能であることがわかります。二等分は可能なので、その繰り返しによって得られる四等分や八等分などは可能でしょうが…。


角の三等分を不可能のままにしておくことによる違和感を説明するのに「数の三等分」という問題を考えてみます。

  • 任意の整数nを三等分せよ

こんな問題は考えるまでもないかもしれませんが、数の範囲を整数に限ったらどうでしょうか。3や6などの3の倍数は三等分できても、4、5、7といった数は3では割り切れないので任意の整数の三等分は不可能という結論になります。そして数を整数に限った場合はこの結論は揺らぎません。
でもそんなの整数だけでなく、小数でも分数でも使ったらいいじゃないかと思うのでは無いでしょうか。ある条件で解が存在しない場合でも、解が存在する条件を求めることは出来るのです。


ピタゴラスという有名なギリシアの数学者は、分数では表すことのできない√2のような数が存在することを発見しました。例えば一辺の長さ1の正方形の対角線の長さが√2です。しかし、分数で表せない数の存在を認めずに外部に漏らすことも禁じました。
でも現在では普通にルートは使われています。数を分数で表せる範囲に限って、正方形の対角線の長さを表すことは不可能であるなどとは言いません。*1でも角の三等分に関しては、これと同じようなことを言っているように感じられます。


では、定規とコンパスという条件を外せば角の三等分は可能なのでしょうか。方法はいくつも考えられているし、その為の道具も考案されていますが、ここでは座標を使って説明してみます。
図形を座標を使って現すことができます。三角形の頂点をxy座標で(a,b)(c,d)(e,f)のように示すのがその1例です。xとyの方程式で直線を表すこともできます。
任意の角θを、方程式をつかって表現してみます。以下の2つの式によって表される直線*2によって角θが表せます。


y=0(x≧0)
y=x*tanθ(x≧0)


では、この角を三等分してみます。


y=x*tan(θ/3)(x≧0)
y=x*tan(2θ/3)(x≧0)


簡単に三等分ができました。だから最初に書いた疑問の、三等分出来ないではなく出来る方法を考えるのが学問ではないかというのには答えがでました。そして三等分以外の分割はどうだろうかという疑問の答えもでています。任意のn等分も可能だからです。


以前に書いた物
角の三等分


(24日追記)
式でsinθと書いてあったのは全てtanθの間違いです。現在は修正してあります。

*1:もしそうなっていたら対角線の長さを分数で表そうとする「対角線の分数表記家」がでてきたかもしれません。角の三等分家みたいな感じで。

*2:正確には半直線