連続体仮説の独立性
http://d.hatena.ne.jp/buyobuyo/20090503/p1の「自称(笑)呼ばわりされたので論理屋っぽいエントリーおば 〜あるニコ動画を題材に〜 - 捨身成仁日記 炎と激情の豆知識ブログ!」で書かれていた連続体仮説に関して。コメント欄で紹介されていたエントリーは参考になりました。
かがみさんがこちらで書かれていますが、Xの基数がのときにX上の整列順序全体の集合を考えるとその基数はとなります。整列順序というのは、ある集合X上の2項関係で
かつならば
かつならば
全てのXの元xとyに対して、またはが成り立つ
YがXの空でない部分集合のときに、Yには最小元が存在する
という条件を満たすものです。上三つだけなら順序、四つ目まで満たすと全順序です。というわけなので、は可算無限集合上の整列順序全体の集合の濃度ということになります。
http://d.hatena.ne.jp/kururu_goedel/20060921/1158814523
そうするとの濃度を持つ自然数の集合と、である整列順序全体の集合には一対一対応が成り立たないということかな。さらに、実数の集合の濃度がであるならば、の濃度である整列順序全体の集合との間に一対一対応が成り立たないということになりそうですが、その辺はどうなんだろうとか考えました。
そうであるとすると不思議なのは、連続体仮説の独立性との関係はどうなんだろういうこと。独立性があるということから考えると、実数の集合の濃度がもしくはそれ以上になるということが導き出すことができる方法は、部分的にせよ現在の公理系から独立しているとなるのかも。
ただ正直なところ「整列順序全体の集合」というのも理解できていないので、その辺から始めないとダメかも。
参考リンク
http://evariste.jp/kagami/diary/0000/settheory.html「集合論雑記」
(追記)
ゲーデルが連続体仮説について研究していたというのも知りませんでした。ウィキペディアの連続体仮説も読んでなかったか忘れたのか。しかし、連続体仮説の否定が証明できないことが示せたのであれば、背理法によって連続体仮説が肯定できそうな気もするのですが…。
1900年、パリで開かれた国際数学者会議においてヒルベルトは彼の有名な 23 の問題の第一番目にこの連続体仮説を取り上げた。その後、1940年にゲーデルは任意の ZF のモデルにおいて構成可能集合全体のクラス L が連続体仮説をみたすことを証明し、「ZFC からは連続体仮説の否定は証明できない」ことを示した。さらに1963年、コーエンは強制法 (forcing) と呼ばれる新しい手法を用いて「ZFC から連続体仮説を証明することは出来ない」ことを示した。これらの結果から ZFC に連続体仮説を加えても、またはその否定を加えても矛盾は発生しないこと、つまり連続体仮説の ZFC からの独立性が示され、連続体仮説は解決を見た(これらの結果は全て ZF の無矛盾性を仮定している)。コーエンはこの業績により、1966 年にフィールズ賞を受賞している。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%80%A3%E7%B6%9A%E4%BD%93%E4%BB%AE%E8%AA%AC
ゲーデルは自身で連続体仮説の否定は証明できないことを示していながら、連続体仮説が偽であると主張していたというのも面白いところです。そして連続体仮説のZFCからの独立性が証明されていながら、専門家が偽であると考えていたり、真偽に対して中立的というのも不思議です。
ゲーデルは、連続体仮説は偽であると強く主張したことで知られている。彼の見方では、連続体仮説の独立性の証明は ZFC に欠点があることを示していることになる。もっとよい公理系を選べば連続体仮説が偽であることが証明できると考えたのである。その立場を強固に推し進めた最後の論文は、学会誌には掲載されずに返還されてしまった。多くの集合論の専門家は、連続体仮説は偽であると考えているか、または真偽に対して中立的な立場を取っている。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%80%A3%E7%B6%9A%E4%BD%93%E4%BB%AE%E8%AA%AC
関連して「選択公理」の項目も読みましたが、これまた興味深い。一般連続体仮説をZFに加えれば選択公理は証明できるみたいです。しかし、選択公理をZFに加えたZFCでは一般連続体仮説は証明不能。
集合論の創始者ゲオルグ・カントールは、選択公理を自明なものとみなしていた。 実際、有限個の集合からなる集合族であれば、そのそれぞれの集合の中から順に1つずつ元を選び出し、それらを併せて集合とすればよいのであるから、このような操作ができることは自明である。
しかし、ツェルメロによる整列可能定理の証明に反論する過程で、ボレル、ベイル、ルベーグ、ラッセルなどが選択公理の存在に気付き、新たな公理であることが認識されるようになった。確かに、無限個の集合からなる集合族の場合、上のような操作を想定しても「順に選び出す」操作は有限回で終了することはないのだから、このような操作を行えることは明らかではない。
選択公理は、それ自身もまたその否定もほかの公理からは証明できないものであること、すなわち独立であることが示された(クルト・ゲーデル、ポール・コーエン)が、これは公理的集合論における大きな成果であろう。但し、ZFに一般連続体仮説を加えると選択公理を証明できる[2]。従って、一般連続体仮説と選択公理は何れもZFとは独立だが、前者の方がより強い主張であると言える。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%81%B8%E6%8A%9E%E5%85%AC%E7%90%86
参考リンク2
wikipedia:順序集合