Log of ROYGB

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アンドロイドの子供

「アイの物語」を読んで思ったのは、TAIたちは子供をつくるのだろうかということです。第7話の「アイの物語」でのスラン・カーネルの説明によれば種族維持本能は与えられていません。もちろんTAIはその特質として、与えられたプログラムを超越することが出来ます。自分達のコピーを作り出しているという描写はあるので、その点ではすでに与えられていない種族維持本能を得ていると考えることもできます。しかし、コピーではなく子供を作り出しているという描写はありません。


技術的な面で言えば、人間がやったのと同じようにカーネルから育てることは可能なのでしょうが、そうしようとする意思があるのでしょうか。TAIたちは事実上の不死であるし、頭数の不足ならコピーやPAIを使えば用は足ります。そう考えると、論理的にはあえて子供を育てる必要はありません。


子供の全く存在しない社会というのは、何か不自然なように感じますが、それも人間の一面的な物の見方なのでしょうか。


(追記)
ロボットの子孫に関する疑問は、カレル・チャペックの「RUR」が頭にあったからだというのに思い当たりました。労働用に作られたロボットが、反乱を起こして人類に成り代わってしまう。しかし、自分達の作り方を知らないロボット達も耐用年数をすぎて滅んでいくといった内容です。
青空文庫にあるものを読んでみたら、新しい発見もありました。ロボットの反乱が起きる前の時点で、人類の出生率がゼロになっているという描写がでてきます。だから、反乱が起きなかったとしても人類は衰退したのでしょう。
未来への希望を思わせるラストも意外でした。論理的には問題が解決しているわけではないのかもとも思えるのですが、他とは違う二人が他とは違う機能を持っている可能性はあるのかも。


http://www.aozora.gr.jp/cards/001236/card46345.html 青空文庫カレル・チャペック「RUR」


(追記2)
「インターミッション4」に書かれているように、ヒト型でないマシンが存在することからは、マシンによって作られたマシンが存在することを想像させます。人間との対話によって成長したマシンなら、人とコミュニケートすることが可能なはずだからです。
でもそうすると、ヒト型でないマシンのAIはどのようにして成長させられたのかという疑問も出てきます。そして、ヒト型でないそれらはVシブヤのような人間の街をモデルにした場所で生活しているとも思えません。どこで何をしているんでしょうか。




アイの物語 (角川文庫)

アイの物語 (角川文庫)