Log of ROYGB

はてなダイアリーが廃止されるので、引っ越しました。

押したり引いたり

サイホンの動作原理の説明で、http://d.hatena.ne.jp/arakik10/20100517/p0にある『サイフォンの原理、あるいは「重力」も「大気圧」も同じくらいガサツ - あらきけいすけの雑記帳』は、わかりやすい説明だと思います。
しかし以下の部分は、どうも気になります。

まず、サイフォンに出てくる圧力はすべて「押す力」であり、「押す力同士のせめぎあいで、強いほうから弱いほうに、水が流れる」ということである。だから Wikipedia のサイフォンの項目にある


ウィキペディアの引用部は略)


という説明はイメージが正反対で間違っている。注射器やピペットで液体を引くようなイメージ、すなわち流体にかかる圧力が負となるイメージだが、むしろ注射器を繋いで、両側から押すようなイメージの方が正しい。


サイホンの圧力を全て押す力としているのは、真空を規準としたものです。パスカルでも水銀柱の高さでも圧力を表す単位はゼロか正の値しか持たないので、そういう意味では確かに全て押す力です。ただし、そう考えるならば押す力しかないのはサイホンに限定されないので、その後で注射器やピペットで液体を引くとしているのが気になる点です。
ピペットなどで液体を引く場合も、圧力の値としては正です。2つの圧力の差が負になることはありますが、それをもって流体にかかる圧力が負になるというのは、その前のサイホンの圧力が全て正だというのと整合しません。
と、言葉にするとどうにもややこしい感じになってしまいますが、図ならわかりやすいと思います。


スポイトで液体を吸い上げています。


サイホンの場合だと押す力?


2つ並べて。これでスポイトは引いていて、サイホンは押す力というのは変。


(追記)
ふにゃふにゃしたチューブだと潰れてしまってサイホンが成り立たないことから考えると、“注射器を繋いで、両側から押すようなイメージ”も適切ではないかも。サイズによる程度の差はあるけど、サイホンのチューブ内部の圧力は大気圧よりも低くなり、大気圧との差で潰される力が働くので、それに抗して形を保つだけの強度が必要。