読者の年齢と主人公の年齢
「火星のプリンセス」は主人公が未成年でないのでライトノベルではないのではないか、そんなことを「山本弘のSF秘密基地BLOGライトノベルについていろいろと(後)」*1を読みながら考えました。
先に挙げたラノベの表面的なフォーマット──「表紙が女の子でカラー口絵があって本文イラストがある文庫本」の元祖が、創元推理文庫の『火星シリーズ』だというのは、みんな笑うけど、でもそうでしょ?
http://hirorin.otaden.jp/e257879.html
ライトノベルに限らず、少年少女文学全集に含まれているような小説でも主人公はたいてい子供です。「家なき子」や「小公女」に「小公子」などすぐに思い浮かぶ作品の主人公は子供です。「ガリバー旅行記」や「レ・ミゼラブル」なんかは大人が主人公ですが、これらの作品はもともとは大人向けに書かれた作品です。
そういった観点からみると同じ著者の作品で「クラッシャー・ジョウ」と「ダーティペア」ではどちらも安彦良和氏の表紙だし、女の子の表紙という点からは「ダーティペア」の方がラノベ的かもしれないけれど、主人公が十代という点では「クラッシャー・ジョウ」の方が若い読者向けかもしれません。「悪鬼の種族」と「惑星カレスの魔女」だとカレスの方がラノベ的な印象があるのですが、これは一応の主人公のバウサート船長は成人であるにしろ3人の魔女達は子供だからです。
でもウルフガイシリーズでヤングとアダルトで対象読者が違うかなんて考えると、主人公の年齢が絶対のものではないようにも思えてきます。「吸血鬼ハンターD」シリーズのDも成人でした。
あとは「無責任艦長タイラー」シリーズが初出レーベルから考えてもライトノベルであるのは確かだし、表紙もしっかり女の子ですが、主人公のタイラーが成人なのがわりと珍しいかもしれません。
無責任艦長タイラー【スーパー・デラックス版】1 (朝日ノベルズ)
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