Log of ROYGB

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−40度

http://d.hatena.ne.jp/trivial/20070807/1186417554の『一本足の蛸 - 「水がなぜ、100度になると沸騰し、O度になると凍るのか」という問い』でとりあがられている水の沸点と凝固点に関して、リンク先とは違った面から考えてみます。

なぜ水の沸点や凝固点は一定なのでしょう。昨日は100度で沸騰したけど今日は120度じゃないと沸騰しないとか、東京では0度で凍ったけど札幌では-30度でも凍らないとしても別にかまわないような気もします。
富士山の頂上では100度よりも低い温度で沸騰するなど、条件によって沸点が変わるという事実もあります。これは気圧が低いだめで、もっと気圧を下げて真空にすると0度で氷の状態から直接蒸発します。気圧を高くすると沸点は上がります。身近な例では圧力鍋などはこの原理を利用しています。さらに高圧にすると、液体でも気体でもない超臨界と呼ばれる状態になるようです。
凝固点は気圧には左右されませんが、塩などが水に溶けていると0度では凍らなくなります。逆に不純物のない純粋な水、つまり純水の場合はどうかというと過冷却という現象が起こって、0度以下になってもすぐには凍らないで、振動などの刺激があると急に凍ります。沸騰でも同じような突沸という現象があります。
しかしまあ、そういった気圧や不純物などの条件を変えなければ沸点や凝固点は変わらないで再現性があるわけです。すべての物理現象には再現性があるといってもいいでしょう。というか再現性がないと物理現象として認められないように思います。再現性があることによって、予測も可能になるわけです。


リンク先コメント欄でのオギノ式に関しても少し。オギノ式も再現性や周期性を利用しています。ちなみに受胎法であるというのは間違いではないし、避妊法であるというのも間違いでは無いように思います。荻野久作博士の研究自体は、月経周期と排卵日に関するものだったはずです。周期的な月経から次回の月経を予測して、そこから排卵日を逆算するというのが研究内容で、それ自体は受胎法でも避妊法でもないともいえます。理論を検証するために、排卵予定日以外の行為では妊娠しないこと、そして排卵日前後での行為により妊娠することが実際に行われたようです。さらに、研究の動機として不妊や多産に悩む女性のためというのがあったようなので、避妊法では無いというよりは避妊法でも受胎法でもあるのでしょう。ただ、後にオギノ式よりも確実な避妊法が普及したので、避妊法ではないというように言われるようになったのではないでしょうか。


2千年に一度しか夜が来ない星の話はアシモフの「夜来る」ですが、それをもっと進めてまったく繰り返しの無い星でも時間の概念があるのだろうかというエッセイも何かで読んだ記憶があります。そこから、微妙な条件の変化によって液体の沸点や凝固点が大きく変わってしまうとしたら温度の概念や測定法はどうなるだろうかなんていうことを連想しました。
あと萩尾望都の「銀の三角」に出てくる月経が何年かに一度しか来ない種族の場合、排卵日の予測法なんかはどうなるんだろなんてことも考えました。


前に書いたもの
物理定数