Log of ROYGB

はてなダイアリーが廃止されるので、引っ越しました。

「印税の不思議」の不思議

http://blog.mf-davinci.com/mori_log/archives/2007/08/post_1316.phpの「MORI LOG ACADEMY 印税の不思議」に関して。

作家Aと作家Bが、だいたい同じ長さの作品を書いた。作家Aはあまり売れていないので、発行部数は5000部と決まった。この部数だと1冊当たり1000円の印刷・装丁代がかかり、また運送等諸経費が200円かかる。だから、1200円×5000部=600万円の費用が必要だ。出版社はさらに、5000部なんて売れない、せいぜい3000部だろう、と考え、3000部でも、経費が捻出できるように、1冊の値段を2500円に設定した。すなわち、2500円×3000部=750万円だから、150万円の黒字が出る。ただし、作家に支払う印税(本の値段の10%)は、250円×5000部=125万円になるので、出版社に入るのは、25万円という計算である。3000部売れれば、なんとか赤字にならずに済むだろう。
 一方、作家Bはそこそこは売れる中堅である。発行部数は初版で10000部はいけるだろう、という見込みが立つ。この部数だと、1冊当たり800円の印刷・装丁代になる。また、運送等諸経費の200円が同じくかかる。だから、1000円×10000部=1000万円の費用が必要だ。出版社は、10000部はたぶん売れるはずだから、と本の値段を1200円に設定した。つまり、1200円×10000部=1200万円だから、経費を上回る。作家に支払う印税は、120円×10000部=120万円となるので、出版社は80万円の儲けになる。

http://blog.mf-davinci.com/mori_log/archives/2007/08/post_1316.php


経済学の需要曲線を連想しました。価格によって需要量も変動して、そこから利益が最大になる点を導き出すとかそんな内容。

引用先の作家Aの作品は2500円で3000部売る場合に利益が最大になると予想され、作家Bの作品は1200円で10000部売る場合に利益が最大になると予想されるということではないかと思います。ただ、部数や値段を決めているのは出版社という設定なので、出版社の利益が最大になるようにということでしょう。

作家の印税が出版部数と逆転するというのは面白いなと思いました。ただ、作家Bの作品を2500円で出したとしたら何部売れるのかは設定に無いので不明ですが、もしかしたら3000部も売れないかもしれません。高い値段でも作品が売れるというのも作品の力というか作家の能力でしょう。また、作家Aの場合は3000部の販売見込みに対して5000部印刷しているのに対し、作家Bでは10000部の販売見込みに対して全く同じ10000部しか印刷しないとしているのが、少々あざとい設定にも思えます。印刷を3000部にした場合は、1200円×3000部=360万円の費用がかかり、売り上は2500円×3000部=750万円で変わらず、黒字は390万円になります。ここから印税を250円×3000部=75万円支払って出版社の儲けは315万円になります。