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東京タワーになります

http://d.hatena.ne.jp/ohnosakiko/20080113の「こちら、ホタテのグリルになります」で問題にされている「〜になります。」という表現について。
「〜になります。」という表現で問題ないと思われる場合として、観光バスなどの案内があります。「右手に見えますのが、東京タワーになります。」といった具合です。どうでしょうか。これには違和感を感じないのではないでしょうか。
バスガイドは良くてウェイトレスだとダメだというのは、おかしいと思うなり。
バスガイドとウェイトレスの違いでないとしたら、対象物の違いかもしれません。東京タワーは良くて、ホタテのグリルはダメなのでしょうか。辞書で「なり」という言葉を引いてみます。

2.(ニアリの約。活用はラ変型) 室町時代には連体形が「な」になり、のち口語「だ」の連体形として残る。終止形は一部は「な」が用いられるが、多くは「じゃ」にとって代られる。体言および活用語の連体形に付く。
(1)場所を表す語を受けて、存在する意を表す。…にある。…にいる。記上「天なるや弟棚機のうながせる」。万一五「今日もかも都なりせば見まく欲り」。源若紫「北山なるなにがし寺といふ所に」。天草本平家「沖な船に送り奉らう」

広辞苑第四版 なり(助動)の項目より一部引用。


場所を表す語だから「東京タワーになります。」はいいなり。「ほたてのグリル」は場所ではないからダメなり。でもこんなことも書いてあるなり。

(2)事物を断定し、または解説するのに用いる。…である。…だ。万五「梅の花今盛りなり」。万六「千万の軍なりとも言挙げせず取りて来ぬべき男とそ思ふ」。源桐壺「亡き人のすみか尋ね出でたりけむ証の釵(カンザシ)ならましかばとおもほすもいとかひなし」。土佐「女もしてみむとてするなり」。毛詩抄「難所な行きにくい国ぢやを、深々と行れたぞ」

広辞苑第四版 なり(助動)の項目より一部引用。


事物を断定または解説するのに「ホタテのグリルである。」や「ホタテのグリルだ。」と同じように「ホタテのグリルなり。」はいいなり。
「ホタテのグリルになります。」はどうかというと少し微妙か。「ホタテのグリルであります。」のように「です」をつけることは可能だとしても「に」を入れる説明が付かないから。「ホタテのグリルなります。」だと変だし。
でもそうすると「東京タワーになります。」もだめなり。「東京タワーなり。」はいいなり。バスガイドさんが「あちらに見えますのが、東京タワーなり。」と言ったらおもしろいなり。コロ助*1みたいなり。ウェイトレスさんも「こちらが、ホタテのグリルなり」と言うなり。

*1:キテレツ大百科」に出てくるロボットで、語尾が「なり」なのが特徴なり。