Log of ROYGB

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電子書籍

はてなブックマークで紹介されていたhttp://www.itmedia.co.jp/news/articles/0804/08/news012.htmlの『おもしろさは誰のものか:「出版界、このままでは崩壊する」――ダイナミックプロ、絶版ラノベ・SFを電子書籍化 (1-2) - ITmedia News』に関して。

「このままでは出版業界は崩壊する」――そんな危機感から、1つの電子書籍販売サイトが生まれた。絶版本を電子書籍で“復活”させる「ダイナミックアーク」だ。開設したのは、漫画家永井豪さんの版権管理・マネージメント会社のダイナミックプロダクション。新刊書籍が量産されてはすぐに絶版になるという出版界の負の連鎖に、一石を投じたいという。

 ダイナミックアークでは、1冊315円で、絶版ライトノベルやSFを販売。一度購入すれば、いつまででも、何度でも読める。「売ったら終わり」ではなく、作家が作品を改訂することもあるという。出版社を通さず、作家と直接交渉してコンテンツを集めた。

http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0804/08/news012.html


絶版だった本が読めるようになるというのは喜ばしいことだと思います。でも電子書籍だけだと少し厳しいのかなとも思います。紙の本というものへの思い入れは読者にもあるし、作者にもあるだろうからです。
電子出版でない紙の本の場合でも、絶版になった本が他の出版社から出るということはありました。ミステリーやSFだと創元文庫とか。早川文庫は絶版になる本も多いですが、他で出していたSFを出版することもあります。他にはちくま文庫などで、他の出版社から出ていた本を見かけることが多いです。
だからどちらかというと既存の出版社が、電子書籍に力を入れてくれるといいと思うのです。現在でも電子書店パピレスなどに作品を提供している出版社も多いし、中央公論社のように自社でも電子書籍を販売しているところもありますが。


電子書籍だけでなく、古本の取り扱いも出版社がするようになったら面白いのかもなんてことも思いました。絶版本も電子書籍や古本で販売しながら、場合によっては再販もするとか。自動車会社が中古車の販売も手がけることもあるし、まったくありえない話でもないとは思うけど難しそうです。


(9日追記)
電子書籍と印税に関して追加で書きます。電子書籍の場合の印税は、売れた分だけだということが少し考えるとわかります。通常の紙の本の出版の場合は印刷した分の印税を払うようなので、それに比べると出版社のリスクは減少します。逆に作家は紙の本であれば少なくとも初版部数×印税が期待できるのに対して、電子書籍だと売れた分しか印税が手に入りません。
あと印税というのは販売価格に対する割合で決めるのが一般的ですが、金額で決めてもいいのかなと思いました。特に電子書籍の場合は、今後出版コストがどんどん下がることが予想されるからです。そして販売価格もコストの削減にともなって引き下げると割合で決める印税も下がってしまいます。たとえ印税が50%でも販売価格が100円ならば50円にしかなりません。印税が10%でも販売価格が500円ならば同じく50円です。

本の原価というと紙や印刷の値段が思い浮かびますが、本の本質というのは内容なのでそちらを原価と考えることもできます。現状の場合だと作者に支払う印税が原価ということです。その原価をまず決定して、それをもとに紙の本ならば印刷代や紙代、電子書籍ならばサーバー費用などのコストを積み上げて価格を決めるなんてことも考えられるかと思いました。