つまりつまらない
はてなブックマークで紹介されていたhttp://bearhand.g.hatena.ne.jp/wetfootdog/20080215/p2の『「はてブつまらない」「はてブ見ない」アピールはネット依存型中二病の始まり - しなちょうメルクマール - 熊手部』に関して。
何かがつまらないという意見があった場合に、どこがつまらないのかということが気になります。もしくは、それではつまらなくない他の何かがあるのだろうかということです。
少し前に読んだ物*1で連想したのが、http://d.hatena.ne.jp/seiama/20051105「『モノ創りやクリエイティヴな発想に役に立つ心得』……まとめ」に書かれていたものです。最初に「面白い」と言っても、具体的な説明が批判になっていしまうということなので「つまらないアピール」とは違うのですが。
新人編集者に、最初に漫画の絵コンテ、つまりネームというものを読ませて、さあ、どうだった? ときくと、最初の答えは作家とか先輩の目を怖がりつつ「面白かったです」と返ってくることが大半です。
それじゃダメでしょ、なにか意見はないの? とさらに問い詰める。すると、焦りを顔に浮かべてまたパラパラと絵コンテをめくって、「えーと、ここがイマイチです。ここもなんか分かりにくいですね。ここが、ここが……」と今度は欠点をあげ連ねる。
するとイジワルな先輩たちは、「ふーん。悪いところはわかったから、良かったところは? 面白かったところはどこ? どう面白かったの?」
「えっ? それはその……」
たいがい、ここで詰まってしまう。最初に面白かったと言ってるのに、意見を言えと要求されると、悪いとこをまず見つけてくる。そして、面白かったはずなのに、どこがどう面白かったのかは、なかなか具体的に表現できないんです。
http://d.hatena.ne.jp/seiama/20051105
確かに面白いことの説明は難しいですがそれよりも簡単なつまらないことの説明もそう簡単ではないように思います。そんなことから連想したのがhttp://www.enpitu.ne.jp/usr6/bin/day?id=60769&pg=20071103の「『オリジナリティがない』は、バカな編集者の常套句」で、これも編集者の話です。
料理評論家はまずい料理を食べたときに「まずい」とは言いませんよね。どこがどう悪いのかきちんと指摘するはずです。
http://www.enpitu.ne.jp/usr6/bin/day?id=60769&pg=20071103
小説も同じこと。
オリジナリティがない、などと言うことは誰にでもできる批評です。キャラが立ってない、もしかり。
幼稚園の感想文じゃねえんだ!って感じですね。
ましてや編集者という職業は、小説を批評するだけでなく、その小説の良いところと悪いところがわかった上で、面白い作品になるよう、作家を導くのが仕事の一つでもあります。
もう一つ引用。やはり批判に関することで、上の二つを探していて見つけた物です。http://business.nikkeibp.co.jp/free/x/20060116/20060117005210.shtmlの『NBonlineプレミアム X 【近藤淳也インタビュー:後編Part2】まっとうな意見を通す組織を』から。
近藤 「英語で話しませんか」と言われて、「嫌だな」と思ってもいいんです。「英語の学習は個人のスキルの向上のためにすることだから、会社の時間を投資するのではなく、個人の時間を投資するべき。営業時間外でやればいい」という意見は具体的な根拠があり、言葉によって語られているからオッケー。だけどさっき言ったように、「近藤がまた変なことを言っている」とか、「そんな非常識なことできるわけないやん」とか、意味の分からない理屈で人の言葉を否定するのは、議論に繋がらないからなしにしておこうよ、と。
あとは、新しいアイデアを出す時には、聞く側は単純な批判ではなくて、対案を出そう、という原則があります。なぜかというと、批判って簡単なんですよ。バカみたいに簡単で、どんなふうにだって言えます。だけど、何か新しいことを言うのってすごく恥ずかしいというか、勇気のいることですよね。
http://business.nikkeibp.co.jp/free/x/20060116/20060117005210.shtml
先週「やらないこと探し」でとりあげた「しないことリスト」というのが、最初の「○○つまらない」、「○○見ない」というのと似ているなと感じました。そういえば「テレビは見ない。」というのもリストにありました。まあ他人にアピールするが目的か、自分の行動を効率化するのが目的かではずいぶん違うかもしれませんが。ただ目的があるというのは共通しています。そして表面に出てきた物だけでなく、その背後にある目的や考えは何だろうといったことが気になります。
*1:検索して見つけた後で、http://d.hatena.ne.jp/kiyohero/20080212/1202747447の「ものづくり - ため日記」経由で読んだのを思い出しました。