Log of ROYGB

はてなダイアリーが廃止されるので、引っ越しました。

100万時間

はてなブックマークで紹介されていたhttp://ayacnews.blog57.fc2.com/blog-entry-6428.htmlの「100万時間あたりの乗り物別死亡率:ぁゃιぃ(゚ー゚)NEWS 2nd」に関して。

100万時間あたりの乗り物別死亡率

スカイダイビング 128.7
バイクの運転 8.8
キューバダイビング 2.0
スノーモービル 0.9
車の運転 0.5
水上スキー 0.3
サイクリング 0.3
航空機 0.2

http://ayacnews.blog57.fc2.com/blog-entry-6428.html


この死亡率は%なんだろうかそうでないのか、といった疑問が出てきますが、100万時間がどのくらいの長さかということなどから判断することが可能です。
100万時間がどのくらいの長さかと言うと、勿論100万時間です。しかし、これだと直感的な理解を妨げるので単位を変換してみます。*1

  • 日数に直すと100万時間約41667日です。

まだわかりにくいですね。

  • 年に直すと約114年です。

これで、イメージしやすくなったのではないでしょうか。


このことと、ブックマークコメントで紹介されていたデータ元のhttp://www.treehugger.com/files/2007/10/its_more_danger.phpの方にはある「普通の生活」の死亡率1.5から、確率の表示単位がパーセントなのかどうかを判断することができます。

普通の生活で約114年あたりに、死亡する確率が1.5%なのか1.5人なのかを考えればいいわけです。*2
1.5%ではなく1.5人だろうというのはなんとなくわかります。1.5人の死亡率だと直感的にわかりにくいので、死亡率が1になるように期間を短縮してみます。


114/1.5≒76


となるので、約76年間の普通の生活で死亡率が1になります。これは平均寿命と同じことです。もし1.5%であると考えた場合には平均寿命が100倍になるので、そんなことはありえないことがわかります。


さて、ここまでが真面目な話で、ここからは少しおかしな方向に話を進めます。*3
普通の生活の死亡率が1.5であるのだとしたら、それよりも低い数字の場合を選択すれば死亡率が低くなると考えられます。たとえば航空機の場合は0.2で、7.5分の1です。*4


と、いうことは航空機に乗り続けていれば平均寿命が7.5倍になるということです。にわかには信じられないようなことですが、数学的には確かです。先ほどと同じように、死亡率0.2が1になる期間を計算で求めてみます。


114/0.2≒570


つまり、航空機に乗り続けた場合の平均寿命は約570年になるわけです。これを信じるなら、長生きの為にずっと航空機に乗り続けようと思う人が出ても不思議は無いくらいです。しかし、500年以上にもなる平均寿命を信じろというのも、無理な話です。
さて、ではどこにおかしなところがあるのでしょうか。



統計でウソをつく法―数式を使わない統計学入門 (ブルーバックス)

統計でウソをつく法―数式を使わない統計学入門 (ブルーバックス)

*1:キムボール・キニスンも人間の心が100万という数字を理解できないと言っていました。「グレーレンズマン」より。

*2:これ以外の場合についても考慮に入れる必要が厳密に考えればあるのでしょうが、話が冗長になってわかりにくくなるので、わかりやすさを優先して省略します。

*3:という説明書きは無いほうが面白さは増すと思うのですが、それだと誤解をまねく可能性もあるので入れておきます。

*4:データ元では国内航空会社という指定があります。