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年金と世代間扶養と資産消失

現在の年金は賦課方式であって、若い世代が支払ったものが年金受給世代にまわっている。つまり子供が親に仕送りするような世代間扶養の仕組みである、といった説明を目にすることがあります。厚生労働省もそういった説明をしているので、公式にもそうであることがわかります。

今日、公的年金は、基本的には現役世代の保険料負担で高齢者世代を支えるという世代間扶養の考え方で運営されています。これは、1人1人で私的に行っていた老親の扶養・仕送りを、社会全体の仕組みに広げたものです。現役世代が全員でルールに従って保険料を納付し、そのときそのときの高齢者全体を支える仕組みは、私的な扶養の不安定性やそれをめぐる気兼ね・トラブルなどを避けるというメリットがあります。また、現役世代が生み出す富の一定割合をそのときそのときの高齢者世代に再分配するという仕組みをとることにより、*物価スライドによって実質的価値を維持した年金を一生涯にわたって保障するという、安定的な老後の所得保障を可能にしているのです。

http://www.mhlw.go.jp/topics/nenkin/zaisei/01/01-02.html


しかし、世代間扶養で現役世代の保険料が高齢世代に支払われているのがすべてだとすると、最近ニュースになっているAIJ投資顧問による年金消失問題の説明がつきません。運用する年金資産があるということは、過去の保険料を全て支払いにつかうのではなく積み立てていたということを意味するからです。
年金の積立方式と賦課方式という異なる2つの方式はまったく相容れないわけでもなく、中間的な状態も存在し得るとすると説明がつきます。現在の年金は賦課方式ではあるが、一部に積立方式も残しているといった具合です。

賦課方式のメリットとしては、厚生労働省の説明にある物価スライドのほかに、今回のような運用の失敗による資産消失でも年金の支給が保障されるということもあります。積立方式ならば、運用資産がなくなれば支給も無くなるのが原則です。実際に企業年金については運用失敗により年金額が減る可能性があります。

1、2階部分の年金は、国が運営する公的年金なので、給付は保証されます。でも企業年金は一部の会社だけしか運営していない私的な年金です。損を出して年金を払うためのお金である積立金が足りなくなった場合、年金額を減らすか、足りない分を会社や従業員が穴埋めする必要があります。

http://mainichi.jp/select/wadai/naruhodori/news/20120308ddm003070179000c.html