戦争小説2冊
映画が話題になってる「あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。」の原作小説がアマゾンのアンリミテッドにあったので読んでみました。かなり飛ばし読みですが、だいたいのストーリーや設定は理解できました。現代の女子中学生が戦争末期の日本にタイムスリップして戻ってくる行きて帰えりし物語です。時間移動物の定番である、過去での何か又は誰かに現代で再開というのも踏襲しています。また、身元不明者がいきなり表れて怪しまれないのかといった疑問も、空襲で焼け出されたと誤解されるみたいに、わりとうまいことつじつまを合わせています。あとがきにも書いてありますが、作中の最後に表れる施設を著者が訪問したことがきっかけなので、作品としては最後から始まってる感じです。
ついでにというか、小松左京の戦争SFがまとめられた短編集も読みました。「お召し」だけは違いますが、他は日本が戦争してない歴史だったり、降伏してない並行世界など歴史にないはずのifを持ち込んだSFです。これも作品によってはかなりよみづらかったりもして、流し読みです。「地には平和を」は、未来から来た人物が歴史を変えようとする話で、これがSF作家として最初の作品みたいです。逆に現代の日本と同じような世界にもかかわらず、戦争をしていない世界でただ一人戦争の記憶がある主人公が狂人扱いされる「戦争はなかった」は、なんでそうなったかという説明は全くないので、SFというよりは寓話的という感じもします。
遠心力という仮想の力(回答編?)
回転する宇宙ステーションの外側にも遠心力は働きます。図のAとBがステーションの外壁にくっついてるとしたら、図の下側に向かう力を受けます。
仮にBが手を離したら、その時点の接線方向である赤い線の向きに移動します。
Bが移動するだけでなく、Aもステーションの回転に合わせて移動します。
最初のうちは、AとBの横方向への移動はだいたい同じで、両者の間隔だけが開いていくはずです。
つまりAの立場からだと、Bが遠心力で下に向かって落ちていくように観察されることになるでしょう。
次第に横方向への移動量にも差が出てくるので、Aからみると、Bに何か横方向の力がかかって速度が変化したように観察されるはずです。
Bの視点でも最初の内は同じく遠心力で落下してるように感じらるまでは同じだけど、横方向への力は感じないでしょう。Bからみれば、Aが円周に沿って曲がっていくのがわかります。
さらに外側の視点からだと、Bに遠心力などは働かず、ステーションを離れた時点から直線運動をしていることがわかります。ステーションの外壁にくっついているときには感じられた遠心力も感じられない、無重力状態になっています。
では、ステーションの内側ではどうなるでしょうか。遠心力による疑似重量がある内側からジャンプしたら、やはり無重力状態の直線運動になるのでしょうか。
グレーレンズマンを原書で読む
レンズマンシリーズが一冊になった電子書籍を買ったので、再読してます。だだし原書なので英語なのです。作中のレンズがあれば、あらゆる種族の言語が理解できるのですが、現実にはそんな便利なものはありません。一作目と同じく、アレクサの読み上げ機能を使いながら読んで、あとから日本語版を読んでます。
話のパターンとしては同じといえば同じで、キニスンが活躍したり、ひどい目にあったりもします。入院して赤毛のマクドゥガルとも再会します。
だいたい各章ごとに話がまとまってる連作短編に近い感じもしますが、話や設定がうまく関連しているし伏線にもなっています。本作だと惑星メドンが多くのエピソードに関連しています。惑星全体を無慣性化できるほどのエネルギー源とバーゲンホルムは、パトロール隊の船の強化だけでなく、最後に登場する秘密兵器にも使われます。惑星メドンは、もう一つの秘密兵器の開発場所にもなっています。他にも、大けがをしたキニスンを元通りにするフィリップ式施術もメドンの技術を活用して完成しました。
原書で読んだ証拠ではないけど、最後の章について。翻訳だと「独立から従属へ」となってますが、原書はATTACHEDの一語です。これは独立レンズマンの独立がUNATTACHEDなので、新たな役務に付くことになるキニスンの業務上の立場を表していて、翻訳でもその意味になっています。しかし英単語としては別の意味もあり、原書の章は2つの意味を含んでのものでしょう。
シリーズはまだまだ続くのですが、ラストにThe Endと書いてあるように、だいたいの問題は片付いたように書かれています。ボスコーンの正体も判明して、本拠地惑星も壊滅して、メドンの大統領に約束した平和に近いものが予想以上の形で実現しました。また主人公キニスンの個人的な面でもひとつの区切りがつきました。これが、次の巻ではあんなことになってしまうとは。
遠心力という仮想の力(疑問編)
遠心力は仮想的な力だと言われることがあります。ただ、水の入ったバケツをぐるぐる回してこぼれてこないのは遠心力の力だし、遠心分離機は遠心力で重力の何倍もの力を加えることもできます。
でもやっぱり仮想的な力でもあるよ、というのが今回のエントリーです。
スペースコロニーなどでは遠心力を使って内部に重力を発生させることができます。
もし、回転するスペースコロニーの外側につかまっている人がいたら、やはり外向きの遠心力を感じるはずです。
ここで、つかまってる手を離したらどうなるでしょう。
遠心力が本当の力であるのなら、図の下向きの遠心力で下に離れていくはずです。
しかし実際は、手を離した時点の円の接線方向に移動することになります。
つまり遠心力は、たえず中心方向へ加速していることによって発生しているので、手を離した場合には、その時点での速度で直線運動をすることになるのです。
さて、それでは外側ではなく内側でジャンプしたらどうなるのでしょうか。何となく地上と同じように重力で地面方向に引っ張られるような気がしますが、中心方向への加速が無くなれば直線運動になるというのは、外側でも内側でも変わらないはずです。
だとすると、スペースコロニーのなかでジャンプしたら、地球上とは異なる力を受ける感じになるのでしょうか。
というのが、少し前のツイッターをみて考えたことです。
物理のクイズ pic.twitter.com/Sza93AQYri
— 柞刈湯葉(いすかり・ゆば) (@yubais) 2023年9月9日
考えたことの順序としては、
①作業員には当然遠心力はかからない
②でもそうすると完成したコロニー内でジャンプしても無重力になるのでは
③いや、電車内のジャンプと同じで運動エネルギーは保持されるのでセーフ
④運動エネルギ―が保持されても直線運動になれば遠心力はやっぱ無し?
といった感じです。⑤として、ジャンプして直線運動になっても仮想的な遠心力ははたらくので大丈夫かも? みたいなことも考えてますが、うまくまとまらないので、今回は疑問編として謎を投げっぱなしにしておきます。
仮面ライダーと少年仮面ライダー隊
アマゾンプライムに「シン・仮面ライダー」が入ったので、さっそく見てみました。昔の仮面ライダーへのこだわりが強い作品でした。気になった点として、子供がでてこないなあというのがあります。子供向けの番組というのは、子供が主役でない場合はあっても、たいていは子供をサブキャラクターとしてだします。
思い返してみると、シン・ゴジラから子供がでてません。ゴジラについてはシリーズが続くにつれて子供向けになっていったのだけど、最初は違ったのだという観点からはわからなくもありません。では、ウルトラマンはどうでしょう。最初から子供向けの作品であり、科特隊に出入りする子供の出演者もいました。シン・ウルトラマンでは、こういった子供の出演者は出てきませんでした。かろうじて神永がウルトラマンになるきっかけとして、逃げ遅れた子供を助けに行ったというエピソードが出てくるくらいです。
仮面ライダーも子供向けの作品で、少年探偵団的な少年仮面ライダー隊が活躍してました。ショッカーも子供を狙った作戦を多用してます。ただ有名な幼稚園バスジャックはゴレンジャーの方で、仮面ライダーではないみたいです。
シン・仮面ライダーではおそらく意図的に、こういった子供の関与は排除されてます。
他に、シン・ウルトラマンでのように一般人に目撃されてネットに画像が広まるというのもありませんでした。また、サソリオーグと戦った特殊部隊の扱いが軽いと思いました。命をかけて任務に向かう彼らには、シン・ゴジラでのような激励の言葉はかけられたんでしょうか。
とまあ気になることはたくさんあるのですが、それだけ何かを語りたくなる作品であるのも確かです。
「暗黒星雲のかなたに」とファウンデーション
アマゾンアンリミテッドで古いSFなどを読んでます。これもだいぶ前に読んだのですが、あらすじをなんとなく覚えてるくらい。今読むと、ファウンデーションシリーズと似た部分も多く感じます。ティラン人の支配に対抗する反抗世界の惑星の位置が謎なのは、第二ファウンデーションと同じです。また、若い男女が宇宙船で旅をするという流れも、「ファウンデーション対帝国」と似てるなと思いました。
地球で発見された文章というのも出てきて、アメリカ人ならあのラストで感動するのかもしれませんが、あまりピンときませんでした。
ウィキベテアによれば、これもファウンデーションシリーズと同じ世界で、「宇宙の小石」よりもさらに昔という設定のようです。だとすると、結局は地球で見つかった文章によって民主主義世界が主流を占めることはなく、皇帝を頂点とする銀河帝国が作られることになっていったのでしょうか。
「宇宙の小石」のラストも、単体として読めばハッピーエンド的ですが、後の時代では結局はうまくいかなかったみたいです。