Log of ROYGB

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レンズマンを原書で読む3

レンズマンシリーズの1作目「銀河パトロール隊」を何とか読み終わりました。だいたい1章か2章をアレクサで読み上げながら読んだ後に、日本語で読みました。
キニスンは独立レンズマンとなりますが、これはアメリカの特別検察官みたいなのが元ネタなのでしょうか。原語ではuntouched lensmanとなってます。着ている制服の色からグレーレンズマンとも呼ばれて、2作目の題名にもなってます。作中でもこちらの方が一般的です。ただ、人間のような視覚を持たないリゲル人などはグレーという色は理解できないので、地球人やそれに似た種族での通称かもしれません。

シリーズ3作目は「第二段階レンズマン」で、これはアリシアに2度目の訪問をして高等訓練を受けたレンズマンのことです。キニスンは、本作で高等訓練を受けているので、すでに第二段階レンズマンなのです。他に本作に登場したトレゴンシーやウォーゼルが後に第二段階レンズマンになります。

高等訓練を受けたキニスンは、リゲル人のような知覚力を得て、真っ暗な場所で物を見たり、壁の後ろも見ることができるようになります。ただしトレゴンシーによると、地球人のような色を感じることはできないとのことなので、見るというのとは違うのかもしれません。もともと知覚力を持っているトレゴンシーや、レンズなしでも強力なテレパシー能力を持つウォーゼルがレンズや高等訓練で手に入れた能力が何なのかは気になるところですが、想像するほかありません。

中学生の頃に「銀河パトロール隊」を読んだときは、ラストでキニスンが死んだと思いました。装甲宇宙服のテストの所も読んではいたのですが、ちゃんと理解できてなかったんでしょう。

 

 

レンズマンを原書で読む2

原書で買ったレンズマンの続きを読んでます。アレクサで読み上げながら、キンドルで表示させてますが、別ソフトなのでページめくりなどは自分でやらないといけません。

危機に陥ったキニスンとバスカークを助けに来たのは、ドラゴンのような見た目のヴェランシア人のウォーゼルです。キニスンは、いよいよとなったら自分を切り離すように言うのですが、バスカークは上官命令も無視して、自分が持ってる海賊船の秘密を記録したスプールを地面に放り投げて、自分たちが死んだらスプールをウォーゼルに拾うように伝えてくれと事もなげにいいます。もともとのブリタニア号の任務からして、成功の可能性が低い自殺任務みたいなものですが、登場人物が任務のためになら命を簡単に投げ出しすぎな気もします。
キニスンたちを助けたウォーゼルも、自分はもうすぐ死ぬだろうと簡単にいいます。

ウォーゼルに協力するために、まず宇宙服のバッテリーを充電する必要があります。武器や飛行に使うエネルギーが足りないからです。これも考えてみれば不思議で、発電所で充電できたから良かったけど、都合よく充電できなかったら別の惑星に置いた宇宙船にたどり着けないわけなので、計画が行き当たりばったりな感じも受けます。

そういう細かい気になる点はあるものの、ヴェランシア人を別の惑星から精神力によって支配するデルゴン貴族の能力は、後に訓練を受けたキニスンも持つことになるとか、捕獲した敵宇宙船のバーゲンホルムが故障する原因としての過負荷は、何でそんな変なことをするのだと思わせておいて、後にでてくる別の過負荷ではものすごい効果を生み出すみたいな、伏線的な描写も数多く出てきます。トレンコのエピソードもそう。

今回はキニスン達が地球に帰還して、ブリタニア号の任務を成功させるまで読みました。この後は、別の任務で失敗して入院したり、アリシアで再訓練してからの再挑戦や、ヘルマスの基地への攻撃計画などへ続きます。

 

レンズマンを原書で読む

レンズマンシリーズが一冊にまとまった電子書籍が安かったので買いました。

シリーズ7冊がまとまていて99円とお買い得です。レビューによればOCRの質が悪いみたいに書いてあったりもしましたが、少し読んだ感じでは問題なさそうでした。

読んだのは「三惑星連合軍」の最初の章でアリシア人とエッドール人について語られている部分。レンズマンシリーズでは惑星の起源に、現代では否定されている恒星がすれ違う時にお互いから引き出された物質が冷えて固まったという説を使っています。そして通常は一つの銀河系に、惑星を持つ恒星は2、3個しかないのですが、地球のある銀河系は遠い昔に別の銀河とすれ違ったので多数の惑星を持つのだという壮大なスケールで話がすすみます。アリシア人は、銀河系のすれ違い以前からあった古い惑星に誕生した種族です。エッドール人は、別の宇宙で誕生した全く異質な種族で、自分たちの支配下における生命を探してこの宇宙にやってきた外来者です。異質な種族ながら、支配欲みたいなのは人間的な感じもします。

銀河パトロール隊」の最初の数章も読みました。第一章は主人公のキニスンの卒業です。校長のホーヘンドルフからレンズを受け取り、そもそもレンズマンが持つレンズとは何なのかが説明されます。SFのジャンルでスペースオペラと呼ばれるものがあり、西部劇の舞台を宇宙にして、ガンマンが光線銃で戦うだけだみたいに言われたりもしますが、レンズマンはまさに宇宙西部劇と言っていいでしょう。保安官のバッジの代わりとしてのレンズです。作中でも州警察は州外への逃亡犯に対応できず、連邦警察も国外へは、そして惑星警察も宇宙へはのように警察組織と犯罪者との競争が語られて、レンズによって宇宙のどこにいっても対応できるようになったと語られます。宇宙戦艦も出てきて軍隊の側面もありますが、基本は警察ということなんでしょう。
第二章はキニスンの初任務で、新造戦艦のブリタニア号での作戦を任されます。宇宙海賊の新型船は、パトロール隊の戦艦よりも足が速く、快速艇よりも重武装で、既存の船では対応できないために作られたのがブリタニア号です。
ブリタニア号が海賊船に対抗するための新兵器が、今では使われることがなくなった爆弾です。20メートルトンの爆薬を使います。昔読んだときはメートルトンという単位を知らなかったので、20メガトンの間違いではないかと思ったのですが、複数あるトンの内メートル法のトンであることを示す為にメートルトンと言うみたいです。日本だと普通にトンと言えばメートルトンなので、単に20トンでもいい気もします。
原語だと、 twenty metric tons of duodecaplylatomate. と書かれてます。
第三章は、敵の船のシールドを破壊してからの白兵戦。ピストルの弾は宇宙服の装甲ではじかれて、ビームもシールドがあるので小型の兵器ではダメ。宇宙船からエネルギー供給される大型のビーム兵器も持ち込むのですが、途中で供給を切断されてしまいます。そこで出てくるのが宇宙斧です。
キニスンのセリフ、 Classification to six places,straight A's--they're human or apporoximately so. は、敵の種族についての説明で、地球人と同じだとAAAAAAのようになります。それぞれ、温血であるとか、酸素呼吸であるという区分を表しているようです。地球人と異なる部分があるとBとかCに変化して、ナドレックのようなパレイン人だとZになるみたいです。この個所は、古い本だと違う意味になっていて、誤訳なんだと思います。
敵は撃破して宇宙船の秘密も手に入れたもののブリタニア号も満身創痍で、乗員は救命ボートに分かれて脱出します。
第四章はキニスンとバスカークのペアの話。バスカークは、高重力の惑星で生まれたオランダ系バレリア人で、宇宙斧での白兵戦で活躍しました。
ブリタニア号の自爆に巻き込まれた敵の船に乗り込んで移動するのですが、見つかって脱出します。敵が通信で話してる言葉は、バスカークにはちんぷんかんぶんですが、レンズを持つキニスンには理解できるといった、レンズの力について語られます。
ある星系をえらんで救命艇を惑星上に隠すのですが、このときに無慣性状態のままにしておきます。無慣性というのは超光速飛行の為に慣性を無くす装置によるものです。有慣性に戻った時には、以前の固有速度が復活するので、別の星のように速度差が大きい場合に時間がかかるからという説明なのですが、宇宙服で移動するキニスンとバスカークがどうやって固有速度の差をキャンセルしたのかが謎です。
移動した惑星上でピンチになったキニスンがレンズで助けを求めるのですが、その返事で時間の単位が伝えられないのは相手が全く未知の種族だったからなんでしょうか。すぐに行くという意味で Coming と言ってるのも日本人としては不思議ですが、これは電話などでも使われる一般的な表現のようです。
とりあえず読んだのは、ここまで。知ってる話なので、英文で理解してるというよりは、記憶から思い出してる部分も大きいかも。

 

セックスをしないと出られない部屋

セックスをしないと出られない部屋というのがあって、これはデスゲームのパロディ的なものといえばいいのでしょうか。リアリティとしては、デスゲーム以上にありえない話です。

似たようなシチュエーションで、宇宙人にさらわれて地球人の性行為を見せることを求められるというSFは昔からあります。アシモフの「この愛と呼ばれるものはなにか」では、宇宙人にさらわれた見知らぬ男女が性行為することを強要されそうになります。
有性生殖というのを知らない宇宙人にとっては、地球の生物がどうやって子孫を増やすかについての学術的興味があったという設定です。
しかし、いきなり見知らぬ相手と、しかも宇宙人が見てる前でやってくれと言われてもできるわけもなくて、宇宙人の企ては失敗します。

星新一の「収容」に出てくるカタツムリのような宇宙人は地球制服を企てていて、地球人の生殖を阻害する方法をみつけるために、適当なカップルをさらってきます。アシモフの見知らぬ男女ではなく、恋人同士であるので、性行為に問題はありません。また、物語の語り手である主人公にとっては、恋人の浮気に悩む必要が無い状況を歓迎してさえいます。ただし、ある理由から、宇宙人の計画はうまくいかないだろうとも。

宇宙人に強要されるというのが現実にあるかは別として、物語としては成り立っています。

 

法律は何も禁止なんかしてない

法律は何も禁止していないのだ、という主張を見かけることがあります。これは、法律は○○したら××という罰を与えると言ってるだけで、○○するなと言ってるのではないというようなことです。

確かに殺人罪でも人を殺してはいけないとは書いてありません。

第199条
人を殺した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。
 

罰則が人の行動をしばっているという面は確かにあって、最近も侮辱罪の罰則が強化されました。他にも飲酒運転の罰則は前に強化されて、そのせいなのか飲酒運転は減っているようです。そうすると法律は何も禁止していなく、罰こそが法であるという説にも一理あるのではと思えてきます。

とは言っても、独占禁止法とか名前に禁止を含む法律もたくさんあるわけで、禁止していないという主張に無理があることは明らかです。

今年の4月から自転車でのヘルメット着用が義務付けられましたが、実はこの法律には罰則がありません。

第六十三条の十一 自転車の運転者は、乗車用ヘルメットをかぶるよう努めなければならない。

これは禁止の法律でもなく、○○しろということを定めています。そして違反しても罰はありません。つまり罰によって人の行動を定めているわけではありません。

 

 

桃太郎とご都合主義

桃太郎の話は昔話の中で比べても、ストーリーがご都合主義な気がします。桃から生まれるというのは不思議ではありますが、元の話では桃を食べて赤ちゃんが生まれるのでまあ納得できます。しかし、犬猿キジが仲間になることはどうででょう。
浦島太郎なら、亀を助けて、お礼として竜宮城に連れて行ってもらう。猿カニ合戦ならば、親を殺されたカニに同情して蜂や栗、臼、牛糞達が味方するというように、それなりの理由があります。

鬼退治に行くことはともかく、道中で犬猿キジが仲間になる理由がキビダンゴでは少し弱いというか偶然に頼りすぎな筋立てです。わらしべ長者のように、のどの渇きで苦しんでいる人にミカンをあげてお礼を受け取るくらいのものがあればともかく、単にキビダンゴのお礼で仲間になって鬼と戦うのは少し説得力に欠けるような。仲間になるにしても、西遊記のように襲ってきた相手を倒して仲間になるといったドラマが欲しいとこです。

そういう観点から桃太郎のストーリーを変更するとしたら、たとえば犬は桃太郎の家で飼っていて最初からついてくる、猿は森の中でキビダンゴをねらって襲ってきたところを倒されて仲間になる、キジはケガをしているところを助けられるといった異なる理由で仲間になるとすると、物語に起伏がでるんではないかと思います。

 

シミュレーションされた意識と逆転クオリア

人間の意識をシミュレートした場合に、本物と同じようにお腹がすいたり何かを感じたりするのでしょうか。
現実世界の場合は、お腹がすいても何も食べなければ、栄養不足で体が動かなくなりますが、シミュレーション上では単なる数値の変化に過ぎないわけです。なので、たとえばHPが1になってお腹がすいたように感じたとしても本物ではなく、数値を10にしたら感じなくなる架空の「お腹がすいた」になるような。
暑さ寒さなどもそうで、現実に寒さで体が動かなくなったりすることをシミュレートしたとしても、そういう風に設定しているからです。シミュレート上の温度設定の数値を変えるだけで寒く感じなくなることは、本当の寒さなのか。また、温度設定ではなく、人間の設定を変えて寒く感じなくすることもできます。シミュレーション上では、心頭滅却すれば火もまた凉し、が成り立つわけです。
逆転クオリアも、シミュレーション上では実際に試してみることができます。「寒い、寒い」と言ってる仮想人間の言語辞書の寒いを暑いに置換したら、「暑い、暑い」と言うようになるわけですが、このときシミュレートされた人は寒いと感じてるのか暑いと感じてるのか。

昔読んだマンガで、ケチな王様が、粗末な食事に不満を言う家来を何とかするために、物の感じ方を逆にする薬を飲ませるというのがありました。すると不味い食事が美味しい食事に変わって万事解決、とはいかず、そのうち誰も食事をしなくなります。
空腹による苦しみが薬の作用で逆になり、何も食べない方が気持ちが良くなってしまうからです。餓死しそうになりながら、これまで経験したことのないほどの良い気持ちになってしまう。

このように、現実世界での逆転クオリアは困ったことになるのですが、仮想世界なら問題なく現実になる、のかなあ。