Log of ROYGB

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レンズマンを原書で読む

レンズマンシリーズが一冊にまとまった電子書籍が安かったので買いました。

シリーズ7冊がまとまていて99円とお買い得です。レビューによればOCRの質が悪いみたいに書いてあったりもしましたが、少し読んだ感じでは問題なさそうでした。

読んだのは「三惑星連合軍」の最初の章でアリシア人とエッドール人について語られている部分。レンズマンシリーズでは惑星の起源に、現代では否定されている恒星がすれ違う時にお互いから引き出された物質が冷えて固まったという説を使っています。そして通常は一つの銀河系に、惑星を持つ恒星は2、3個しかないのですが、地球のある銀河系は遠い昔に別の銀河とすれ違ったので多数の惑星を持つのだという壮大なスケールで話がすすみます。アリシア人は、銀河系のすれ違い以前からあった古い惑星に誕生した種族です。エッドール人は、別の宇宙で誕生した全く異質な種族で、自分たちの支配下における生命を探してこの宇宙にやってきた外来者です。異質な種族ながら、支配欲みたいなのは人間的な感じもします。

銀河パトロール隊」の最初の数章も読みました。第一章は主人公のキニスンの卒業です。校長のホーヘンドルフからレンズを受け取り、そもそもレンズマンが持つレンズとは何なのかが説明されます。SFのジャンルでスペースオペラと呼ばれるものがあり、西部劇の舞台を宇宙にして、ガンマンが光線銃で戦うだけだみたいに言われたりもしますが、レンズマンはまさに宇宙西部劇と言っていいでしょう。保安官のバッジの代わりとしてのレンズです。作中でも州警察は州外への逃亡犯に対応できず、連邦警察も国外へは、そして惑星警察も宇宙へはのように警察組織と犯罪者との競争が語られて、レンズによって宇宙のどこにいっても対応できるようになったと語られます。宇宙戦艦も出てきて軍隊の側面もありますが、基本は警察ということなんでしょう。
第二章はキニスンの初任務で、新造戦艦のブリタニア号での作戦を任されます。宇宙海賊の新型船は、パトロール隊の戦艦よりも足が速く、快速艇よりも重武装で、既存の船では対応できないために作られたのがブリタニア号です。
ブリタニア号が海賊船に対抗するための新兵器が、今では使われることがなくなった爆弾です。20メートルトンの爆薬を使います。昔読んだときはメートルトンという単位を知らなかったので、20メガトンの間違いではないかと思ったのですが、複数あるトンの内メートル法のトンであることを示す為にメートルトンと言うみたいです。日本だと普通にトンと言えばメートルトンなので、単に20トンでもいい気もします。
原語だと、 twenty metric tons of duodecaplylatomate. と書かれてます。
第三章は、敵の船のシールドを破壊してからの白兵戦。ピストルの弾は宇宙服の装甲ではじかれて、ビームもシールドがあるので小型の兵器ではダメ。宇宙船からエネルギー供給される大型のビーム兵器も持ち込むのですが、途中で供給を切断されてしまいます。そこで出てくるのが宇宙斧です。
キニスンのセリフ、 Classification to six places,straight A's--they're human or apporoximately so. は、敵の種族についての説明で、地球人と同じだとAAAAAAのようになります。それぞれ、温血であるとか、酸素呼吸であるという区分を表しているようです。地球人と異なる部分があるとBとかCに変化して、ナドレックのようなパレイン人だとZになるみたいです。この個所は、古い本だと違う意味になっていて、誤訳なんだと思います。
敵は撃破して宇宙船の秘密も手に入れたもののブリタニア号も満身創痍で、乗員は救命ボートに分かれて脱出します。
第四章はキニスンとバスカークのペアの話。バスカークは、高重力の惑星で生まれたオランダ系バレリア人で、宇宙斧での白兵戦で活躍しました。
ブリタニア号の自爆に巻き込まれた敵の船に乗り込んで移動するのですが、見つかって脱出します。敵が通信で話してる言葉は、バスカークにはちんぷんかんぶんですが、レンズを持つキニスンには理解できるといった、レンズの力について語られます。
ある星系をえらんで救命艇を惑星上に隠すのですが、このときに無慣性状態のままにしておきます。無慣性というのは超光速飛行の為に慣性を無くす装置によるものです。有慣性に戻った時には、以前の固有速度が復活するので、別の星のように速度差が大きい場合に時間がかかるからという説明なのですが、宇宙服で移動するキニスンとバスカークがどうやって固有速度の差をキャンセルしたのかが謎です。
移動した惑星上でピンチになったキニスンがレンズで助けを求めるのですが、その返事で時間の単位が伝えられないのは相手が全く未知の種族だったからなんでしょうか。すぐに行くという意味で Coming と言ってるのも日本人としては不思議ですが、これは電話などでも使われる一般的な表現のようです。
とりあえず読んだのは、ここまで。知ってる話なので、英文で理解してるというよりは、記憶から思い出してる部分も大きいかも。