Log of ROYGB

はてなダイアリーが廃止されるので、引っ越しました。

数学の問題の問題5

今回はhttp://d.hatena.ne.jp/shi3z/20080510/1210433002の「天才よばわり - shi3zの日記」に書かれていた以下の部分に関して。

1年生の算数の時間に、先生が「2-1は1、では1-2は?」というので「-1」と答えたら不正解にされた。

それだけならまだよかったが、クラスの連中は



 「まいすってなんだよー まいーすーー」

 「かっこつけてへんな言葉考え出してんじゃねえよ」

 「1から2がひけるわけねえだろ」



と授業中になじられた。

先生は彼らの間違いをただすどころか、「りょうが間違ってる」と譲らなかった。あとから思えば、彼の専門は国語だった。

http://d.hatena.ne.jp/shi3z/20080510/1210433002


1から2が引けるわけが無いというのは小学校1年生の段階だからというばかりでもなく、数学的にも正しいとも考えられると思いました。
自然数の範囲内であれば1から2は引けません。
整数まで範囲を広げると1から2を引くことが出来て、答えは−1になります。やっぱり−1で正しいのかと思う人もいるかもしれませんが、それは場合によります。


次の定義は正しいでしょうか。

  • 三角形の内角の和が180度になる。

これも小学校のどこかで習うことだと思いますが、これも必ずしも正しいとは限りません。具体的には球の表面などでは三角形の内角の和は180度よりも大きくなります。平面のユークリッド幾何学に対する非ユークリッド幾何学の一つです。ユークリッド幾何学と非ユークリッド幾何学は最初に設定する条件、これを公理と呼ぶのですが、その公理が異なっているので違った法則が成立するわけです。


素因数分解についても考えて見ます。
12を素因数分解すると2,3,4,6となります。この4つの素因数は12を割り切ることが出来ます。
−2ではどうでしょう。
12÷(−2)=−6
だから−2でも割り切れます。−3,−4,−6でも同じです。これらは素因数ではないのでしょうか。
素因数でないというのが答えで、なぜならばそう決まっているからです。*1
あと範囲を実数に広げると、そもそも素因数というのが意味をなさなくなりそうです。ところが実数よりもさらに範囲を広げた複素数素因数分解というのには意味があるみたいです。通常の素因数分解とは違ったものなのでしょうが。


話を引用先の小学校の話に戻すと、授業の範囲としてもしくは数学の公理としてマイナスの数を認めないというのは、ある程度の正当性が無くもないかなと思います。でもそれならわざわざ「1−2は」などと質問しなければよいのにとも思うわけです。そして「−1」が間違っているとした場合の正解はなんだったんだろうというのが気になります。自然数とか公理といったことを説明するのは難しいし、自然数や公理を使わずに説明するもの難しそうです。
小学校1年生だとオハジキのようなもので数を説明したりするので、それを使えば「2このオハジキから1こをとることはできるけど、1このオハジキから2こをとることはできない」のような形で自然数という言葉は使わないけれども実際に自然数である具体例を使った説明が出来るかもしれません。



数学の問題の問題
数学の問題の問題2
数学の問題の問題3
数学の問題の問題4

*1:素数が2以上の自然数だから。