Log of ROYGB

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アンパンマンにみる正義

正義とは何かを考えると、悪を倒すものとしがちです。それでは正義は悪抜きには存在し得ないのでしょうか。
『「おろかもの」の正義論』という本の中では、悪を倒す為だけの正義を「暗黒的正義観」と呼んでいます。

「正義は勝つ」「悪を滅ぼして正義を示す」。よく見かける言い方だ。だが、もし正義がそういうものでしかないとしたら、正義は悪に依存するということになる。悪に勝ったり、悪を滅ぼしたりしないと存在するころができないのだから。こういう類の正義観をわたしは、暗黒的正義観と呼んでいる。それは、正義を暗黒、悪を光として扱うものだ。光があって、はじめて影が生じるのだから。悪という炎を消してすべてを闇に返すのが正義である、というんはもちろん少しばかり引く荷を込めた言い方なのだが。


「おろかもの」の正義論」小林和之著 15ページ『「正義」は勝ちも負けもしない』より引用。


悪とは関係の無い正義を考えることは難しいのですが、「アンパンマン」の中にヒントを見つけることができるかもしれないと思いました。「アンパンマン」にも単純な正義VS悪としてのアンパンマンバイキンマンの戦いは出てきますが、それだけではありません。
アンパンマンが毎日パトロールに出て見回っているのは、バイキンマンを見つけて倒すためではありません。
困っている人を見つけて助ける為です。
具体的には、大きな荷物を持って疲れている人を助けたり、おなかをすかせた人に自分の顔のアンパンを食べさせたり。


ジャムおじさんの作ろうとした心を持ったパンに、いのちのほしが降り注いで誕生したのがアンパンマンです。最初は赤ちゃんみたいだったアンパンマンも次第に成長していきます。崖から落ちたジャムおじさんを助けたことを契機として、人を助ける行動を開始します。アンパンマンが人を助けるのは、胸の奥がホカホカするからだそうです。

アンパンマン誕生」
http://www.veoh.com/browse/videos/category/anime/watch/v15433812dxTqSBQs


アンパンマンのすむ世界では、人を助けようとする行動は珍しいことではないようです。しょくぱんマンは学校などに食パンを配っているし、カレーパンマンは自分で作ったカレーを皆に食べさせています。野菜を配っているオクラちゃんや漬物をつけているおしんこちゃんもいます。チャーハン王子やラーメン天使が何を配っているかは書くまでもないでしょうし、荷物を運ぶSLマンもいます。
ジャムおじさんも焼いたパンを配っていることはもちろんとして、おさんぽしている最中でさえも何かと人助けをします。その相手がバイキンマンでさえも。


ジャムおじさんのおさんぽ」
http://www.veoh.com/browse/videos/category/animation/watch/v16207764wh4sXjnE