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暴力装置はダメで、訓練検閲はいいか

読売新聞のニュースから。

 長崎県対馬市厳原町陸上自衛隊対馬警備隊(谷村博志隊長ら隊員約310人)の訓練検閲が4日、始まった。

 北朝鮮による韓国砲撃事件があった直後だけに、島民の安全を守る隊員らは緊張感を漂わせていた。

 同警備隊広報班によると、2年に1回の検閲で、福岡県春日市陸自第4師団長・木野村謙一陸将が、隊員らの行進と警備訓練の状況を検閲する。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20101205-OYT1T00257.htm


訓練検閲という言葉は、はじめて目にしました。検閲というと良くないというイメージがあったので驚きました。辞書で調べると「調べあらためる」という意味もあり、必ずしも出版や映画などに対する公権力による強制的な取調べともかぎらないようではあります。

少し前に「暴力装置」という用語が問題になりました。これは暴力という語の否定的なイメージが問題になった理由として考えられるでしょう。今回の訓練検閲も同様に問題になってもおかしくはない気もしたのですが、とくに問題視しているところはなさそうでした。


検閲という語を使う場合の問題としては、それが憲法によって禁止されているということがあります。第21条が集会・結社・表現の自由、検閲の禁止、通信の秘密となっています。しかし憲法で禁止されている検閲は、今回のニュース記事で紹介されている検閲にはあてはまらないというのが感覚的な判断です。
とはいっても、自衛隊というのは公権力でもあるのでそこで行われる訓練状況の検閲が、憲法で禁止されている検閲にあてはまらないというのを理論的に説明するのはちょっと難しいかもと感じました。そして検閲というのが誤解を招きやすい表現であるのは確かだとも思います。


憲法自衛隊というと、自衛隊憲法第9条で保持しないとされている陸海空軍などの戦力ではないのかという問題もあります。今回のニュースの検閲は憲法第21条で禁止されている検閲とは違うのだ、のように言うことができるなら、自衛隊の呼び名が自衛軍になったとしてもそれは憲法第9条で禁止されている軍ではない、と言うことも出来るのでしょうか。
まあ軍がついても軍隊ではない巨人軍や救世軍などが世間に受け入れられていることからすれば、自衛軍もひょっとしたら受け入れられることがあるかもしれません。