Log of ROYGB

はてなダイアリーが廃止されるので、引っ越しました。

数学と独立

http://president.jp/articles/-/6263の「なぜ幸運の確率は5分5分でなく、63%か−ネイピア数 「暮らしとマネー」のナゾ:PRESIDENT Online - プレジデント」に関する否定的感想。
前半の数学に関する部分は興味深い内容なのですが、後半の人と人の出会いに当てはめるには無理があるように思えます。

この法則を、人と人の出会いに置き換えてみます。誰か見知らぬ異性と出会ったときに、その人と交際してもいいかどうかという判断基準は通常、顔の好みや性格、趣味などでしょう。しかし、その条件がどんなに多くても先の法則に従えば、まったく一致しない確率は約37%にすぎません。

http://president.jp/articles/-/6263?page=2


顔と性格、趣味の3つで考えた場合に、それぞれの内容を3種類に分け1から3の数字で表すとします。

顔 :1、2、3
性格:1、2、3
趣味:1、2、3

これを選ぶ場合に、顔で1を選んだから性格は残りの2か3から選ぶ、のようにはなりません。顔は顔で1から3の中から選ぶ。性格も1から3の中から、そして趣味も同じです。だから1、1、2のように同じ数字が選ばれることもあります。数学的にいうと各項目が独立した変数であるということです。*1
カードを配る場合は先に配ったカードは出てこないので独立していません。
これが無理のある点の一つ目。


顔と性格、趣味に加えて背の高さという基準を追加してみましょう。

顔 :1、2、3、4
性格:1、2、3、4
趣味:1、2、3、4
背 :1、2、3、4

と、各項目ごとに1から4の中から選ぶことになるわけですが、何故1から4なのでしょう。一つ前の顔と性格、趣味の3つで選ぶ場合は各項目を1から3に分類していたのに、背の高さが加わると1から4に分類しなくてはいけないのでしょうか。項目の種類の数と、それぞれの項目をいくつに分けるかということは、本来関係ありません。顔という基準にたいして、9割はOKという人もいるだろうし、5割とか1割なんて人もいるかもしれません。各基準に対して別々に、人それぞれの確率で一致するしないということが決まるわけです。
それをカード配りのようにカードの枚数で一致する確率を決めるものをモデルにして説明するのには無理がある。これが二つ目です。


以上の理由から、前半のカード配りの話と後半の人と人の出会いの話にはほとんど関係が無いのではないかと考えます。

*1:細かいことを考えると、たとえば顔と性格間になんらかの相関関係がある可能性なども考える必要があるけれども単純化したモデルなら独立しているとしても間違いではない。