Log of ROYGB

はてなダイアリーが廃止されるので、引っ越しました。

カラスとヒツジ

http://noraneko.s70.xrea.com/mt/archives/2008/0201003223.phpの『★ 電脳ポトラッチ 「粉屋と息子とロバ」って話を思い出した』で紹介されていた「粉屋と息子とロバ」に関して。紹介先のhttp://www.geocities.co.jp/Bookend/9563/Aesop/reader_Aesop10.txtにあるものを読んだのですが、txt形式で行が長いので横スクロールが出てしまい読みにくい画面になってしまいました。すこし考えてからソースを表示させて読みました。
「粉屋と息子とロバ」以外にも「271、真理と旅人。」から「312、太陽に文句を言うカエル。」まで沢山の話があって、興味深く読めました。「粉屋と息子とロバ」の番号は283なので最初から10話くらい読んだところにありましたが、読んでみたら知っている話でした。次の「284、カラスとヒツジ。」は、印象深かったです。「粉屋と息子とロバ」といっしょに引用します。

283、粉屋と息子とロバ

 粉屋とかれの息子が、となりまちのいちで、ロバを売るためにロバを曳いていった。歩き出してからすぐ、彼らは、井戸端会議をしている女将さんたちに出合った。
「ほらみてごらん。」一人が叫んだ。「あの人たちときたら、ロバに乗らずに、とぼとぼ歩いているよ。みんなはあんなのを見たことがあるかい?」
 粉屋はこれを聞くと、すぐさま息子をロバに乗せた。そうして、自分はその脇をさも楽し気に歩き続けた。
 それからまたしばらく行くと、老人たちが熱心に議論しているところへやってきた。
「あれを見なさい。」その中の一人が言った。「ほら、わしの言うとおりじゃろう。近頃では、年寄りにどんな敬意が払われているのだ? 年老いた父親が歩いていると言うのに、怠け者の息子はロバに乗っておる。やくざな若者よ、下りるのだ! そして、年老いた父親を休ませてやりなさい。」
 こうして、父親は息子をロバから下ろすと、自分がロバにまたがった。こうして歩いていると、またすぐに、彼らは母親と子供たちの一団に出くわした。
「あんたときたら、なんて、いけずな年寄りなんだい。」数人が粉屋を非難した。「可哀想に小さな息子は、あんたの脇を、やっとの思いでついて行っているというのに、よく自分はロバに乗って、平気でいられるね。」
 気のよい粉屋は、すぐさま息子を自分の後ろに乗せた。こうして、彼らは町の入口にさしかかった。
「おお、正直な我が友よ!」ある市民が言った。「これはあなたがたのロバですか?」
「その通りですよ。」年老いた父親がこう答えた。
「本当ですか? あんたがた二人がロバに乗っているのでは、誰もそうとは思わないですよ。」男はそう言うと更に続けた。「ロバに乗るよりも、自分たちでロバを運んだ方がよいのに、なぜそうしないんですか?」
「あなたの言うとおりですね、とにかくそうしてみます。」
 こうして、粉屋は息子と共にロバから下りると、ロバの脚を束ねた。そして棒を使って肩に担ぐと、町の入口の橋までロバを運んでいった。この様子を見ようと人だかりができ、人々は笑い転げた。
 ロバはうるさいのが嫌いなのに、その上、へんてこりんな扱いを受けたので、縛っている縄を破ろうと、棒を揺さぶった。そして川に落ちてしまった。
 苦い思いをして、恥ずかしくなった粉屋は、家に引き返すしかなかった。こうして粉屋が得たものは、全てを喜ばせようとすることは、結局誰も喜ばせないことであり、そのうえロバまで失うということであった。

ペリー721、イソホ3.30、ジェイコブス62、チャーリス47、ラ・フォンテーヌ3.1、パンチャタトンラ3.3、
トムスンモチーフインデックス.J1041.2、この話の系統は、ポッジョ。


284、カラスとヒツジ。

 意地悪なカラスがヒツジの背中に乗っかった。ヒツジは嫌々ながらも、あちこちとカラスを運んだ。そしてしまいにこう言った。
「もし、イヌを相手にこんなことをしたら、鋭い歯でお返しされるだろうに。」
 これに対してカラスはこう答えた。
「私はね、弱い者は蔑み、強い者にはへつらうんですよ。誰をいじめればよいか、そして誰に媚びればよいか、ちゃんと分かっているのです。だからこそ、天寿をまっとうできるのです。」

ペリー553、パエドルス6.26、キャクストン4.19、チャーリス98、トムスンモチーフインデックス.W121.2.3、この話の系統は、パエドルス。


その後の「285、キツネとイバラ。」なども続けて読むとさらに興味深いかなと思いました。読む人にもよるのでしょうが、他には「274、ライオンと鷲。」など。もっと他のページを読むにはファイル名reader_Aesop10.txtの10を9や8などに変えればいいみたいです。