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積と和

小説に出てくる数学の問題。今回は「笑わない数学者」に出てくるビリヤード球を使ったもの。6月27日の問題は数字の積に関しての物ですが、今回は数字の和に関する問題です。


5つのビリヤード球をリング状にならべて、そこから1つでも2つでも全部でも好きな数だけ球を取る。ただし並んでいる物しかとれないとし、とった球に書いてある数の合計が1から21の全ての数を表すことが出来るようにするにはどうしたら良いか。


ビリヤードの球でなく、任意の自然数としても同じことです。ビリヤード球の場合は同じ数が存在しないのですが、同じ数を使わないことは他の条件からもわかります。5つでなく任意のn個を並べた場合を考えるには、ビリヤード球に書かれている数字が15までという制限を外して考える必要もあります。

5つのビリヤード球を連続した状態でとるとすると、21通りが考えられます。

1個の球をとる場合が5通り。
2個の球をとる場合が5通り。
3個の球をとる場合が5通り。
4個の球をとる場合が5通り。
5個の球をとる場合が1通り。

合計して21通りです。
21通りで1から21までの数を表すのだから、同じ数になる場合があっては困るのです。また、21通りで1から21までの数を表すということから、5つでなくn個の場合はいくつまでの数を表すことができればいいのかもわかります。
5つの場合は(5×4)+1で21通りですが、これは5(5−1)+1ということです。n個の数を使う場合はn(n−1)+1通りになるので、1からn(n−1)+1までの数を表すようにすればいいことがわかります。


その他の条件についても判明します。

  • 1は必ず存在する。
  • 2も必ず存在する。

これは1を表すには1の球が必要だし、2を表すのに1を2つ使ってしまえば1を表す場合が2通りになってしまうからです。他にも5つの球の場合は、全てを足した合計が21になるのは当然だし、n個の場合も合計がn(n−1)+1になります。


そこから先は、場合によって変わってきます。もし1と2が隣同士に配置されれば、両方をとることで3の数にすることができますが、離れて配置されていた場合は別に3が必要になります。
これがはっきりするのは4つの数を使った場合です。1と2が隣に配置されている場合と、離れて配置されている場合の両方の解が存在します。ここでは解答を書きませんが、異なる解を導き出しているサイトを紹介しておきます。

参考リンク
http://tokyo.cool.ne.jp/meikyu/art96/gdu9610a.html 『笑わない数学者』の謎を解く
http://naym1.cocolog-nifty.com/tetsuya/2005/08/__5e40.html 徹也 笑わない数学者 ビリヤード解答


4つの球の場合で解が2つ存在することから、解が一意には求まらないことがわかります。あとは、任意のnの場合に解が存在するかどうかです。
プログラムを使って解を求めている人もいるようです。いくつか紹介しておきます。

参考リンク
http://d.hatena.ne.jp/Gemma/20080316/1205606599 『笑わない数学者』のビリヤードの問題をGaucheで - Gemmaの日記
http://celori.at.webry.info/200511/article_1.html 「笑わない数学者」のビリヤード問題 Blog 2pi-ウェブリブログ