Log of ROYGB

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熱には重さがある

http://d.hatena.ne.jp/hiroyukikojima/20080816の「田中秀臣さんは愛に満ちた敵 - hiroyukikojimaの日記」の主旨とはあまり関係の無い以下の熱現象に関する部分について。

 この感じをわかってもらうためには、物理学における「熱現象」の解明の歴史が一番適切な喩えだと思う。熱とは何か。熱が伝わって行くとはどういうことか、という問題。最初は、「熱素」という物質があって、それが物質の中を流れていくのだと思われていた。でも、それではうまく説明のできないことがいっぱい出てきて、この説は否定されることになる。そして、かなりたってから、分子運動論が提唱されてうまく説明されることとなった。でも、分子運動論だって、分子の運動エネルギーが、衝突や振動や磁気現象なんかで伝播していく、ってことだから、「熱素」説とそんなにめっちゃ違うわけじゃない。だから、こそ、「熱素」という正確でない解釈でも、蒸気機関が成功したわけだし、その程度にはこの説の有効性はあったわけだ。(別に、熱素説から蒸気機関が発明されたわけじゃないけど、蒸気機関(熱機関)の研究から、エントロピーの概念が生まれて、熱力学が誕生したのは有名。分子の発見は、そのずっと後のこと)。

http://d.hatena.ne.jp/hiroyukikojima/20080816


熱素は否定されましたが、エネルギーの伝達には光子という小さな粒がかかわっているので、小さな粒で熱が伝わるという点では間違っていなかったのかもしれません。またエネルギーは、その量に応じた質量を持つので熱にも重さがあります。現在の技術でも測定は出来ない程度なのですが、同じ物質が低温のときと高温のときでは高温の場合の方が重くなります。

もし非常にわずかな重さの違いが測定できたり、物理定数が違うために温度の差による質量の差が容易に測定できるような世界では熱に関する理論がどういうふうに発達したのだろうかなんてことをたまに考えます。高温になると重くなるのが観測される場合、熱が重さを持った物質によって伝わるというような形で熱素説が有力になりそうにも思いますが*1、逆にエネルギーも重さを持つといった相対性理論的なものが早く発見されるかもしれません。

*1:実際には温度の差による重さの差は測定できなかったため、熱素には重さが無いとされた。