事故と賠償責任と危険回避
野球観戦中の事故に関するニュースから。
打撃練習中に客席に飛んだボールが顔に当たり失明したとして、観客の女性が球場を管理するプロ野球、北海道日本ハムに約６５００万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、千葉地裁は２８日、請求を棄却した。
白石史子裁判長は判決理由で、「（球団側には）打球が観客席に飛ぶ危険性を知らせて注意する義務はあるが、観客にも防御態勢をとるなどして危険を回避することが求められる」と指摘。
場内放送で注意を呼び掛け、ボールが飛んだときに笛を吹いて注意喚起する係も配置するなど「警備上の注意義務を果たしており、過失があるとはいえない」とした。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/111028/trl11102817370013-n1.htm
以前にも似たような事故と裁判があって*1、そのときも請求が棄却されているので野球観戦中の事故は賠償されないと考えた方がよさそうです。
賠償されない理由としては危険回避が可能だというのが判決で述べられています。単にチケットに賠償しないと書かれているだけだと理由としては弱いと思います。それが可能なら、飛行機のチケットに事故の場合にも保証しないと書いておけば賠償しなくてよくなりそうですが、たぶんダメでしょう。
焼肉屋とユッケの場合だとどうでしょう。ユッケを食べるとまれに食中毒になることがあるとして、それを承知の上で客が注文して事故が起きても野球のボールがぶつかったのと同じに考えることができるでしょうか。
この場合の違いは、ボールが飛んできたときに笛を吹くような個別の注意喚起ができない点です。ユッケの場合は、どれが当たるのかわかりません。
