Log of ROYGB

はてなダイアリーが廃止されるので、引っ越しました。

アキレスと無限

アキレスと神

アキレスは神に祈りを捧げた。もっと早く走れるようになりたいと。
君は今のままでも充分に早く走れるではないか。そんなことをいう友人もいたが、アキレスが耳をかすことはなかった。
そんな彼のところを旅の老人がおとずれた。知らない顔だったので旅の老人だとアキレスは思ったのだが、もしかしたら神が姿をかえたのかもしれないし、他の何かかもしれない。しかし何であれ単なる人間ではないことは、その後に起きたことからもあきらかであろう。
本当に早く走れるようになりたいのか。旅の老人はアキレスにたずねた。
もちろんだ。とアキレスはこたえた。
それでは世界中のどこにでも2秒のうちに到達できる程の速さで走れるようしてやろう。と老人。
もしそれが本当ならば、どんな礼でもしよう。とアキレス。
老人が何かをした。とはアキレスに感じられなかったが、あそこまで走ってみるようにという言葉のままに100メートルほど離れた木の所を目指して走り出した。


最初の1メートルに1秒かかった。
次の1メートルには2分の1秒かかった。
その次の1メートルには4分の1秒。
その次の1メートルには8分の1秒。
……
そして、確かに2秒とかからずに100メートルの距離を走りきった。
アキレスが振り返ったときには老人の姿はどこにも無かった。

アキレスと亀

不思議な力を手に入れたアキレス。どんなに遠くの国であっても2秒かからずに到着できるようになったのだから今度こそと思っても不思議ではありません。今度こそ、亀と競争して勝つ、と。
亀はアキレスの不思議な力について噂として知っていましたし、アキレスからも直接聞かされました。亀はアキレスとの競争をなかなか承諾しませんでした。実はアキレスの為を思ってのことだったのですが、自分の力を過信したアキレスにはわかるはずもありません。
どうしても自分と競争するように執拗に求めるアキレスに対し、亀はスタートして3秒でどちらが遠くまで行けるのかという条件でも良いかと尋ねた。
アキレスと亀は競争をすることになった。
スタートして1秒の間に、アキレスは1メートル、亀も1メートル進んだ。
次の1秒で亀は1メートル進み、その次の1秒でさらに1メートル進んだ。
スタートして3秒たったときに、亀は3メートル進んだ地点にいた。


アキレスの行方は誰も知らない。



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亀とアキレス
アキレスと亀