Log of ROYGB

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結果は同じでも

結果として同じ状態であっても違うことについて考えました。


ヨーロッパのどこかのレストラン。昼食時でにぎわっていて、見知らぬ2人が相席になります。
ほぼ同時に料理が運ばれてきます。飲み物として付いてきたワインは同じものです。
ひとりがワインのボトルを手に持ち、何を思ったのかもうひとりのグラスにワインを注ぎます。
ワインを注がれた方は少し驚きますが、今度は自分のボトルから相手のグラスにワインを注ぎます。
食事をしながら特に会話を交わすことは無かったのですが、二人は楽しいひと時を過ごしました。


これは前にどこかで読んだ話を思い出して書いたものですが、自分のワインを相手に注ぎ、相手のワインが自分に注がれた後の状態はそれぞれ自分のワインを自分のグラスに注いだ場合と同じです。でも同じではない。
これは贈与に関する話として紹介されていた記憶があり、同じものを贈り合うことでも単に物がいったりきたりするでけでない何かがあるのだというような説明でした。
結果としてグラスに注がれたワインは同じ物で、量も同じであるにもかかわらず、自分で自分のグラスに注いだのとお互いに注ぎあったのでは2人の内面に違いが生じます。


この話を思い出したのは大阪のある役所で無償のデザイナーを募集したことに関する話題に接したことがきっかけです。役所の入札で1円入札というのは珍しくはないし、ソフトウェアやデザインであっても自分の作ったものを無償で他の人に提供している人も大勢います。
だから無償でデザイナーを募集するのは同じともいえるし、やっぱり同じではないと思う部分もあります。


前のレストランと似た状況で、ひとりが相手のワインボトルをつかんで自分のグラスに注ぐ。それをびっくりしたように眺めていたもうひとりも、怒ったように相手のボトルを引っつかむと自分のグラスに注ぐ。
こんなことがあったら食事はあまり楽しそうではありません。