SFマガジン1月号で特集されているテッド・チャンの小説とエッセイに関連したこと。
収録されていつ2つの短編はどちらも時間を扱っていて、さらに因果関係に矛盾が起きない決定論的な考え方をとっています。つまり過去にいって何かしてもすでに起こったこと以外は何も出来ないし、未来を見たとしたらかならずその通りになるということ。「商人と錬金術師」の扉にかかれていた「歳月の門」からハインラインの「時の門」を連想しました。「時の門」も時間を扱っていて、因果関係に矛盾が生じないようになっています。読んだ後で、藤子不二雄のある短編も連想しました。
「予期される未来」は、ボタンを押す前に光る装置の話。http://d.hatena.ne.jp/enzi/20071202の「いろいろネタバレ テッド・チャン - SFムーンストーン enziの日記」にいろいろ書いてあるのでなるべくそれ以外から。まず連想したのがアシモフの短編でチオチモリンという奇妙な物質の出てくる話。どの辺が奇妙かというと、負の溶解時間を持つからです。つまり水を加える前に溶けるのです。チャン自身の「あなたの人生の物語」もある種時間を扱っていて、何となく似ている感じを受けました。それからイーガンの「百光年ダイアリー」も。これは上のリンク先に書いてあるみたいですが読み返していたらどうしても書きたくなりました。それは、最初の方にでてくるフランシス博士の部分を読んだから。そこで説明されていることは「予想される未来」と非常に類似しています。しかし、それだけが書きたくなった理由ではありません。何というか読んだはずの物を読み返して驚かされました。
エッセイの「科学と魔法はどう違うか」は、まったく同感と言いたくなりました。ただ似たようなことは思っていたにしろ、これほど明確に精錬された形ではありませんでした。さらに過激でもあります。
この基準に照らすと、うわべはSFに見える物語の多くが、実際はファンタジーだということになる。未来を舞台に宇宙船が活躍するのに、実は魔法を利用している話は無数にある。
(SFマガジン1月号48ページより引用)
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