Log of ROYGB

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ゾウからネズミからバクテリアまで

http://wiredvision.jp/news/200810/2008102123.htmlの『ゾウからバクテリアまで、「体重あたりのエネルギー消費量」は共通 WIRED VISION』に関して。

エネルギーが生物の通貨だとしたら、生物学者たちはその生活費を算出していることになる。

ゾウからバクテリアまで、すべての生物が安静時の代謝で消費するエネルギー量は、生物の重量当たりで換算すると同程度になる――新たな研究論文がこのように主張している。[ロシアにあるPetersburg Nuclear Physics InstituteのAnastassia Makarieva氏による研究で、ゾウからバクテリアまで、3000種に及ぶ動植物の(安静時)代謝率を比較したもの]

それによると、生物は種によって大きさや構造の複雑さにかなりの違いがあるが、エネルギーの消費量は、どの生物も1キログラム当たり3〜90ワットになるという。ちなみに、『MacBook Pro』のバッテリー駆動時の消費電力は約12ワットだ。

「自然界に偶然というものはあまり存在しないため、多様な生物たちの消費エネルギーがこの狭い範囲に収まるということは、単なる偶然の一致ではない、とわれわれは解釈している。つまり、自然淘汰によって、この範囲に収められていると考えられる」と、ミネソタ大学の生態学者Peter Reich氏は話す。

http://wiredvision.jp/news/200810/2008102123.html


重量あたりというよりは、細胞あたりのエネルギー消費がにかよっているのかなと何となく思いました。細胞の大きさは、生殖細胞のような例外を除けばだいたい同じだし、その構成物質やメカニズムなどは共通のものだからです。
その辺から、エンジンなどの重量あたりのエネルギー消費も似ているのかなと考えました。模型用の小さなエンジンから、自動車用、はては船舶用の巨大なエンジンなどで、重さとエネルギー消費量の関係はどうなっているのでしょう。
重さよりも排気量の方が、エネルギー消費と関連が深いかもしれません。空気に含まれる酸素の量によって燃焼可能な燃料の量も決まるからです。ただ、これもエンジンの回転数によって変わってくるし、ターボなどの加給器のことも考えると違ってくるかも。
生物の場合でも、呼吸によって使う酸素の量と消費エネルギーは密接にかかわっていそうです。でも酸素を必要としない生き物もいるので、この方法が使えない場合もありそう。


記事でも紹介されている「ゾウの時間ネズミの時間」にも体重と消費エネルギーのかかわりについて書かれていました。小さい物はネズミから、大きなのではゾウまでの動物の体重と標準代謝量を両対数軸のグラフにするとほぼ直線になるというものです。その曲線を式にすると、次のようになります。

logEs = log4.1+0.751*logW

Wが体重*1で、Esが標準代謝*2です。
この式を変形するとこうなります。

Es = 4.1W^0.751

そして0.751は約4分の3であることから、「標準代謝量は体重の3/4乗に比例する」とも書かれていました。これは、最初に紹介した記事の体重あたりのエネルギーが共通するというのは矛盾しそうですが、共通と言っても1キログラムあたり3から90ワットとかなりの幅があるため成立するのでしょう。


ゾウの時間 ネズミの時間―サイズの生物学 (中公新書)

ゾウの時間 ネズミの時間―サイズの生物学 (中公新書)

*1:単位はキログラム

*2:単位はワット