Log of ROYGB

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言語の一次元性

http://d.hatena.ne.jp/trivial/20090712/1247328057の「非線状的言語は可能か? - 一本足の蛸」と、http://d.hatena.ne.jp/tokyocat/20090711/p1の「このブログは1行ずつ上から下に向って読みます - 東京永久観光」で取り上げられている言語の一次元性に関して。


フィクションに登場する言語でいえば、「あなたの人生の物語」の他に佐藤史生の「やどり木」というマンガに出てくる「幾何言語」というのが頭に浮かびました。

実際習っているときは幾何言語の複雑怪奇さがどうしても納得いかなかったけど――こうなってみると一目瞭然だよ
要するに一本の直線的な時間軸にならんでいたものを織物のように平面にくみなおすわけだ
すると“一冊の本を読む”という行為が“一枚の絵を見る”という行為におきかえられる


佐藤史生「やどり木」より引用。)


この説明などから、幾何言語は二次元的な言語であるようです。ただし、これを理解するためには宿脳というものを持っている特別な人でないと駄目なようですが。


他には石原藤夫の「画像文明」などでも、文字ではなく絵によって情報を伝達するようになった社会が描写されています。


現実の言語に話をもどすと、数式というのは必ずしも一次元的ではないのかもしれません。


\sum_{n=0}^\infty\frac{1}{n}


\int_{\small-\infty}^{\infty}e^xdt


\(\array{\\{A}\quad{B}\\{C}\quad{D}}\)


例として出した数列の和や積分、行列の表記はmimeTeXを使って表示させています。表示させるためのソースは一次元的ではあるけれども、表記されたものはそうではないように思います。
表計算ソフトで使う数式も一次元的ですが、これを通常の表記に使ったら便利だとはとても思えません。コンピュータ用言語における数式なども一次元的です。コンピュータの処理の問題から考えれば、一次元的な表記法が便利なのでしょうが、人間にとってはあまり便利とは思えません。
だから、コンピュータなどにも適した一次元的な表記が一般的に使われるようにはならなくて、コンピュータでもこれまでと同様に一次元的ではない数式が表記可能なようになっているのでしょう。


他にも必ずしも一次元的ではない言語に類するものは存在しそうです。「あなたの人生の物語」では、登場する文字を「意味図示文字」として説明しています。その説明に例として登場するのは進入禁止のマークです。だから道路標識やトイレのマークなども意味図示文字ということです。絵文字やアイコンなどもそうでしょう。
漢字もある程度は意味図示文字になるというか、場合によってはそうなることもありそうです。大人・小人と欠かれていた場合の「小人」には対応する読みが無く、意味だけを伝えるものだからです。


人間の認識に関して考えると、何かを見て判断するということは普通に行ってるので、目で見た二次元の画像の処理はできているということでしょう。何かが近いか遠いのかという奥行きや、時間による変化である動きに関しても対応しているので、四次元的な情報処理が行われていると考えても良いでしょう。ただし、それを言語化するのは難しいということなのかも。
スポーツなどの動作や状況判断を言葉で説明するのが難しいのは、この辺にも原因があるかもしれません。