Log of ROYGB

はてなダイアリーが廃止されるので、引っ越しました。

添加物と癌と食品の安全

http://togetter.com/li/49790の『Togetter - 「日常的に用いられている量の添加物は癌の原因になるか?」』に関して。


「それほど心配する必要はないとしても、添加物などに全く発癌性がないということもない」というのがこのエントリーで言いたいことです。

食品添加物等に使用されている色素は通常使用量により反復投与毒性試験、発がん性試験、変異原性試験で毒性のないことが確認されたものである。

1960年代にそれまでに食品添加物として指定されていたタール色素に発がん性などが発見され相次いで指定が取り消されたため、タール色素のイメージが非常に悪化した。それ以降は、食品用途には天然物から得られる色素を代替として用いられることが多くなっている[1]。

近年、天然由来のアカネ色素に発癌性が認められた[2]ため、同色素は食用色素から解除された。現在も使用されている色素の一部について動物実験の結果等から発がん性があるという研究者の報告がある。また「タール」という名前のせいもあり全般的に危険と怖がられている。

タール色素 - Wikipedia


タール色素に関する問題は主に過去のことではあるのですが、いったんは認可されて使われていた食品添加物発癌性が見つかったというのはわりと大きなニュースになったようです。年配の人だと、そういう経験もあって食品添加物に不信感を持つことがあるのかもしれません。消費者運動や「暮らしの手帳」それから生協なども、程度の差はあっても反添加物の姿勢はあると思います。
人工甘味料のチクロやサッカリンも、発癌性があるといわれて使用禁止になりました。でも問題ないという研究もあって、チクロはEU等、サッカリンアメリカ等で現在も使用されています。


参考リンク
wikipedia:チクロ
wikipedia:サッカリン


動物実験発癌性があったとしても人間でもそうだとは限らないというのも調査の難しいところです。それに、日常生活では食べる可能性が全く無いような量を接種した場合にわずかな発癌性があったとしても意味があるのかみたいなことも考える必要があります。
人工的に合成された物質だけに発癌性があるわけでもありません。天然由来のアカネ色素が使用禁止になったというのは上で引用した通りです。ただ、使用禁止の理由は発癌性よりも遺伝毒性の方が大きいかも。
フライドポテトやポテトチップにも発癌性があるといわれるアクリルアミド*1が含まれるという研究結果もあったりします。


食品の安全と言う面からは発癌性以外にも気をつけたほうがいいこともあります。魚介類に含まれる水銀や、ヒジキの砒素の問題なんかも少し前のニュースになりました。

参考リンク
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/qa/index.html厚生労働省:食品の安全に関するQ&A」


(14日追記)
書いたものに珍しく反応がありました。

REV 太陽にも発がん性があるから、太陽も無くさないとね。だけど、太陽がなかったら、地球はたちまち凍りつく…花は枯れ鳥は空を捨て… 2010/09/14

http://b.hatena.ne.jp/REV/20100914#bookmark-24882859

太陽というか日光に発癌性があるのは本当です。http://www.ne.jp/asahi/ecodb/yasui/ChemCarcino.htmの「化学物質発がん性 市民のための環境学ガイド」などにわかりやすい説明があります。オーストラリアでは子供が太陽の下で活動する時間の上限を定めたりもしているようです。


太陽の光や日焼けした肌は、昔だと健康のシンボルのように思われていたのに最近になって発癌性などの危険性が明らかになってくるというのが添加物などとは逆のようで興味深い感じです。
食品添加物は、過去に発癌性で使用禁止になるということが多発した結果としての悪いイメージを現在まで引きずっているような気がします。合成洗剤なんかも初期のABSと呼ばれる成分の時は川が泡立ったり、含まれるリンによって琵琶湖に赤潮が発生したりなんてことがあったようで、そのときのイメージが比較的分解されやすいLASになり無リン化されても続いているような。

*1:http://www.mhlw.go.jp/topics/2002/11/tp1101-1.html「加工食品中アクリルアミドに関するQ&A」