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ベクトルの彼方

\Large -1^1=-1

これが昨日書いたiを使わないオイラーの等式の変形です。マイナス1の1乗がマイナス1になるという非常にシンプルな式です。というかこれにいったいどんな意味があるのかというのが疑問になるくらいでしょう。
しかし、マイナス1のx乗の特別な場合だと考えるとどうでしょう。

 \Large -1^x=cos{{\pi}x}+i\sin{{\pi}x}

iのx乗のように、オイラーの公式と似た形になります。eという特別な数を虚数乗という操作をするのでもなく、虚数でさえないマイナス1の冪乗で三角関数を表すことができるという点ではオイラーの公式よりも不思議な感じもしてきます。


さて、e^ixと同じようにコサインの実数部とサインの虚数部で表すことのできるものはi^xや(−1)^xの他にはないのでしょうか。
結論からいうと、iや−1以外にも無数にあります。具体的にはe^ixで表せる数のうち、1以外はすべて同様の性質を持ちます。1の場合には何乗しても1のままですが、それ以外のe^ixで表せる数は長さ1でx軸に対して0でない角度を持つベクトルと考えることができます。ベクトルの冪乗によって、角度を変えることができるとするとイメージがつかみやすいと思います。


例えば
 \Large a=cos{\frac{\pi}{180}}+i\sin{\frac{\pi}{180}}
で定義されるaは、x軸に対して角度が1度のベクトルです。
だから、
 \Large a^x
はx度のベクトルになります。xが2なら2度のベクトル。xが90なら90度、360なら360度という具合です。n乗すればn度になるので、何か便利そうです。


角度の表記としては一周が360度の度数方と呼ばれるものよりも、一周が2πになるラジアン表記の方が数学では良く使われます。*1
では、ラジアン表記で1radのベクトルというのもあるでしょうか。

 \Large b=cos{1}+i\sin{1}

で定義されるbが、x軸に対して角度1radのベクトルです。


このbの定義は、違う表記も可能です。

 \Large b=e^i

つまり、自然対数の底eをi乗したものが、長さ1で角度1のベクトルだったというわけです。

*1:上でaを定義したコサインやサインの中のπ/180という値もラジアンで表したものです。もし度数方を使うなら1度なのでcos1やsin1なります。