仕事算と電気抵抗
小学校の算数でならう仕事算というのがあります。
たとえば、
アリスが庭の草むしりをするのに30分かかります。ボブは20分で草むしりをすることができます。
ではアリスとボブがいっしょに草むしりをした場合には何分かかるでしょう。
といった問題です。
この問題をとくには
1÷(1/20+1/30)=
という計算をすればよく、12分という答がもとまります。
これとよく似た考え方をするものに電気で使う抵抗器の合成抵抗の求め方です。
合成抵抗というのは2本とか複数の抵抗を組み合わせた場合の抵抗値です。直列につないだ場合は単純に足していけばいいのですが、並列にした場合は少し複雑です。
抵抗AとBを並列に接続した場合は、
1/(1/A+1/B)=
という公式に当てはめることで計算できます。合成抵抗の公式は分数を使って表すことが多いのですが、内容としては仕事算の式と同じです。
合成抵抗の公式には別のものもあります。
(A×B)/(A+B)=
これでも同じように抵抗値がもとまります。抵抗と同様に仕事算にも使えます。
最初のアリスとボブの草むしりの問題に当てはめて、
(20×30)/(20+30)=
を計算すると12分という答が求まります。
最初の公式と見た目としては違いますが、式を変形すると同じことだというのがわかります。
1/A+1/B
という計算をするのに、分母を同じにするための通分を行ないます。分子と分母に同じ数をかければ値が変わることはありません。
B/(A×B)+A/(A×B)
分母が同じになれば、分子をそのまま足すことが出来ます。
(B+A)/(A×B)
つまり、
1/(1/A+1/B)=
は、
1/((B+A)/(A×B))=
と変形することがでるわけです。
ここからさらに変形して
(A×B)/(A+B)
という形になるわけです。
この2番目の公式は計算する手順が少なくなっていて便利なのですが、抵抗2本の場合にしか使えません。最初の公式は、抵抗が増えていっても足す分数をふやしていくだけなので簡単です。
1/(1/A+1/B+1/C)=
A、B、C3本の抵抗を並列につないだ場合はこうなります。
この式を変形することもできないわけではありませんが、2本の場合ほど単純な形にはなりません。
(A×B×C)/((A×B)+(A×C)+(B×C))=
これだと最初の式とたいして変わらないような気がします。