Log of ROYGB

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虚数の電流

虚数の抵抗」と関連する話。

交流の電圧

乾電池のプラスとマイナスは決まっています。これを直流といいます。
壁のコンセントはプラスとマイナスが時間によって変わります。これを交流といいます。
コンセントの電圧は100V*1なのですが、100Vよりも大きくなることもあるし小さくなることもあります。
電圧の変化をグラフにするとこんなふうになります。



縦が電圧で、横が時間です。電圧は−1から1までの変化を繰り返しています。コンセントの100Vの場合は、だいたい−140Vから140Vまで変化しています。これを1秒間に50回か60回繰り返しています。

交流の電流と電力

コンセントに電球などをつないだ場合に流れる電流は、電圧と同じように変化します。



電圧も電流もプラス側とマイナス側が同じだけなので、平均すると0になります。電圧も平均0Vだし、電流も平均0A*2ということです。
しかし、電球をコンセントにつなぐと光るのでなにか仕事はしているはずです。どのくらいの仕事をするのかというのは電球の先に書いてあって、40W*3とか60Wというのがそれです。消費電力が40Wのように言ったりもします。
電力というのは、電圧と電流を掛け合わせることで計算できます。これは直流でも交流でも同じです。
しかし、先に書いたように交流の場合は電圧や電流の平均が0になってしまいます。そうすると電圧×電流も0になりそうです。
電力を計算する場合は、平均ではなくそれぞれの時点での電圧×電流を計算します。直流の場合は電圧も電流も一定なので簡単ですが、交流は電圧や電流が変化するのですこし面倒です。
電圧と電流をそれぞれの時点で掛け合わせた結果はこうなります。



こんどは0から1の範囲に収まっています。電圧がマイナスのときは、電流もマイナスになるのでマイナスかけるマイナスでプラスになるわけです。
電力を平均することもできて、この図の場合は0.5になります。コンセントの100Vという電圧は、平均電力から計算されます。100Vの交流に電球などをつないだ場合に消費される電力は、直流の100Vの場合の電力と同じになるようになっています。

マイナスの電力

電力がマイナスになることはあるのでしょうか。



電圧と電流のプラスマイナスが同じならば、電圧×電流はいつでもプラスになります。電圧がプラスのときに電流がマイナスのような場合なら、電力もマイナスになります。
具体的には太陽光発電をしている場合など、余った電気を送電線に送り返しています。この場合は、電流の向きが逆になるので電力がマイナスになると考えることができます。

虚数の電流

コイルやコンデンサといった虚数の抵抗には、虚数の電流が流れます。
虚数の抵抗であるコンデンサに流れる電流は、こんな感じになります。



電圧に対して、すこしずれた周期で電流が流れます。電流の変化の方が、電圧よりも先になっています。
どうしてこうなるかというと、コンデンサに流れる電流は、電圧の変化に比例した量になる為です。電圧を微分すると電流になるという言い方もできます。
虚数の電流という言い方をしてはいますが、電流としては実体を持ったものです。電流だけをみれば、電球に流れる電流とコンデンサに流れる電流に区別はつきません。
それでは何故、虚数の抵抗に流れる虚数の電流は電力として消費されないのか。
コンデンサの電力を計算すると、こうなります。



これだけみると、電力はプラスになったりマイナスになったりしてはいるものの0ではありません。しかし平均すると0になってしまうのです。
コンデンサは電気を貯める性質をもっていて、プラスの電力のときに貯めた電気をマイナスの電力のときに返しているので、
差し引きすると0になります。

*1:ボルトと読みます。

*2:アンペアと読みます。

*3:ワットと読みます。