自由意志と遠心力

人間の自由意志というのは、遠心力と同じような考えることができるのではないでしょうか。
遠心力というのは、たとえば水の入ったバケツを勢いよくまわしたときに、バケツが逆さになっても水がこぼれない現象を説明することができます。月が地球を回っているのも、引力と遠心力が釣り合っているからだと考えることができます。
遠心力は存在しない仮想的なものだという考えもあります。バケツの水が落ちてこないのは、バケツが絶えず底から水面方向に加速されているからで、月の運動も同じように説明できます。運動方程式と重力の法則での説明に、遠心力という力は不要です。

しかし、遠心分離機で液体を分離させたりすることができるのも現実です。人間の入れるような巨大な遠心分離機に入れられてグルグルまわされたときには、遠心力なんて無いんだとはとても思えないのではないでしょうか。

人間が何かを思ったり決断する自由意思というのも、存在しないのではないかと言われることがあります。過去が決まっているように、未来も決まっているという運命論的な考えは、タイムトラベルを題材としたＳＦに登場します。
脳の動作についての研究で、人が何かを決めたと感じるよりも前に、脳の状態が変化して決めているのではないかというものもあります。

とはいっても自由意志が存在しないなんてことは、ほとんどの人がそうは思えないのではないでしょうか。それは巨大な遠心分離機の中で、遠心力が存在しないとは思えないのと似ています。