リンゴ、雲、みずすまし
「ジョン平とぼくと」という本に関することです。ストーリーにはなるべくふれないようにして、設定について書いてみたいと思います。
まず、魔法が日常的に存在することの説明に「魔法素」という架空の物質を使っています。SF作家のラリー・ニーブンの書いた「魔法の国が消えていく」などの作品が、こういった魔法物質を最初に設定したのではないかと思います。ニーブンの作品では魔法物質「マナ」は使えば無くなる資源のようなもので、長年にわたる浪費でどんどん少なくなっていきます。その失われ行くマナをふたたび世界にもたらそうというのが「魔法の国が消えていく」という話だったとおもいます。
「ジョン平とぼくと」では、地球由来の「陰素」という魔法物質も説明にはでてきますが、実際に使われるのは太陽から飛んでくる「陽素」です。そのため、使えば無くなりはするものの、新しい陽素も次々に降り注いでくるのです。
水素の原子核が融合してヘリウムの原子核になる核融合反応によって陽素が発生するという説明は、ファンタジーというよりはSFといってもいいくらいです。核融合によって発生し、目には見えないが特別敏感な計測器を使えば存在を確認することが出来る、というのは陽素の説明ではなくニュートリノの説明だとしてもおかしくないくらいです。
「使い魔」というのもよくある設定ですが、なぜ人の言葉を話せるのかや、寿命が長いのかということにも説明がされています。基本的には生き物ならば何でも使い魔になるようですが、猫や鳥類が多いようです。ジョン平は犬の使い魔です。
ほとんどの人に使い魔の動物がいるので、ペットというのは無いのかと思いましたが使い魔とは別にペットもいるようです。
魔法の呪文は、一見なんの関係もない単語を組み合わせるというのものです。これも言葉が重要なのではなく、それによって脳に発生するパターンが魔法を引き起こすというのも、なかなかもっともらしい説明です。
ニュートンが万有引力を発見したのはこの世界と同じですが、そのことよりも偉大な錬金術師として有名だというのも面白いです。そうするとケプラーは占星術師として有名だったりするのだろうかなんて考えました。
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