Log of ROYGB

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0.999…8?

http://d.hatena.ne.jp/ROYGB/20080126#decimalの「無限小数の不思議」とそのコメント欄で書いたことだけれども、あらためて書いてみます。


まず、0.999…とどこまでも続く数をつくるのに以下のような数列を考えます。

\large 0.9, 0.99, 0.999, \cdots, 1-\frac{1}{10^n}


この極限値

\large \lim_{n\to\infty}1-\frac{1}{10^n}


と書くことが出来て1に収束します。0.999…=1だから当たり前です。

でも、以下のような数列ではどうでしょう。

\large 0.8, 0.98, 0.998, \cdots, 1-\frac{2}{10^n}


最初の数列との違いはすべてが9ではなく、先頭は8になっていることです。

この極限値も1になります。

\large \lim_{n\to\infty}1-\frac{2}{10^n}=1


なんか不思議に感じませんか?
数列の極限から考えるとあたりまえではありますが、0.999…=1よりは納得するのが難しそうです。だって0.8、0.98、0.998、0.9998と9がいくら増えても先頭は8なわけですから。

先頭の数は8でなくても良く、それどころか1桁の数字でなくてもかまいません。

\large 0.0, 0.90, 0.990, \cdots, 1-\frac{10}{10^n}


でも

\large \lim_{n\to\infty}1-\frac{10}{10^n}=1


となります。
これはどのくらいまで大きく出来るかというと、どこまでも大きくしていっても大丈夫みたいです。
なにしろ

\large \lim_{n\to\infty}1-\frac{n}{10^n}=1


だって成り立つからです。
これを数列にすると

\large 0.9, 0.98, 0.997, \cdots, 1-\frac{n}{10^n}


のようになります。分母が冪乗だからこうなるのでしょうか。
では、分子も冪乗にしてみましょう。

\large \lim_{n\to\infty}1-\frac{2^n}{10^n}=1


です。
これは

\large \frac{2^n}{10^n}=(\frac{2}{10})^n=\frac{1}{5^n}


\large \lim_{n\to\infty}\frac{1}{5^n}=0

だから
\large \lim_{n\to\infty}1-\frac{1}{5^n}=1

となるからです。これは五進数表記で0.444…とするのと同じことですが、まあそれは余談。*1

2の冪乗でなく2でも4でも、9だってかまいません。
しかし10はいけません。


\large \lim_{n\to\infty}1-\frac{10^n}{10^n}=0


となってしまいます。

*1:全部が余談ともいえますが。